「せっかくパリに出かけたら蚤の市に足を運んでみたい」という方は少なくないと思います。でも、「どういうものにどれだけの価値があるのか」を目利きするのは知識と経験がなければ難しいですし、そもそも自分が欲しい品物を扱っているお店がどこにあるのか見つけるのも至難の技。やはり初心者にはかなりハードル高く感じてしまいます。
そこで今回は、アンティークジュエリーが大好きでパリ市内の蚤の市に通い詰めているパリジェンヌ、コラ・ソレーヌさん(以下、ソレーヌさん)と一緒に“パリ三大蚤の市”の1つ「クリニャンクール蚤の市」へ。
▲「クリニャンクールの蚤の市」はパリの蚤の市の中でも有数の広さ。何度か通わないとすべて見て回れません
日本でも人気のアンティークのボタンやレースを扱うお店、ソレーヌさんも大好きなアンティークジュエリーのお店、フランス土産にピッタリな雑貨やポストカード、ポスターなどを取り扱うお店などなど合計12店舗を訪問しました。
▲ソレーヌさんは「将来蚤の市に自分のお店を持ちたい」そうで、新品を購入するよりもはるかにたくさんのお金を蚤の市で使ってしまっているとか。「アンティークジュエリーは同じものを誰も持っていないという特別感が魅力」なのだそう
|クリニャンクール蚤の市でお気に入りの品を見つけよう
ソレーヌさんによると、蚤の市は「貧しい人たちが生活費を稼ぐために拾ったものなどを再び使えるようにして売るようになったのがはじまり」とのこと。当初はパリ市内の街角で売っていたそうですが、1860年代のジョルジュ・オスマン時代に禁止されてしまい、その後市内各所で商売をしていた人たちが集まって現在のような市場の形になったと言います。
実際、蚤の市には1€(約¥120)で買える品物から何万€と高額な品物まであるそうで、「いろいろなものが混ざり合った蚤の市はパリのとても大切な文化の1つなの」とソレーヌさん。まずは1900年代前半のボタンやレース、布、衣類や服飾雑貨などを取り扱っている「Flivolites de Paris」を訪れます。
ここで「蚤の市に行ったら欲しい!」と思っていたアンティークのボタンを物色。ソレーヌさんと店主が顔馴染みということもあり、店頭には出ていなかった珍しいボタンも見せてくれます。
値段が一切表示されていませんが「とりあえず好きなものをピックアップしてみて」とソレーヌさん。「欲しいものを選んでから、いくらになるか聞いてみる」とのことです。値段のことが気になりながらも、凝ったディテールや色使いのボタン1つ1つに目が釘付けになってしまいます。
▲数多くのボタンの中から気になるボタンをピックアップ
ピックアップしたボタンの値段を店主に尋ねてみると「1点あたり10〜25€(約¥1,200〜¥3,000)」となかなかの高額。現存するものが少ない、古い時代のものばかりだったようです。
▲こちらのアンティークボタンはすべて1点あたり25€(約¥3,000)とかなり高額
「選んだものをすべて購入するならまとめて300€(約¥36,000)にしますよ」と店主も言ってくれましたが、予算オーバーだったので特に気に入ったもののみを購入。
▲実際に購入したボタン
ソレーヌさんによるとアンティークボタンのコレクターは多く、ネットオークションをチェックすると1点で400€(約¥48,000)になるものもあるそうです。また、こちらのお店では見た目も可愛い1920年代の糸ケースも思わず購入。
▲1920年代の糸ケース(20€=約¥2,400)
蚤の市の中では「古いものに似せて作られたものを販売されていることもあるので注意が必要」と語るソレーヌさんですが、この糸ケースは「本当に1920年代のもの」とのことです。
次に連れて行ってもらったのは、古今東西の多種多様な雑貨を取り扱うお店。
▲こちらの雑貨店の店主はソレーヌさんの旦那さまのおじさんとのこと
「いろいろな品物があって、価格も比較的リーズナブルなの」とソレーヌさんがオススメする通り、お土産にピッタリの小物入れや銀食器、絵画、置物など幅広くディスプレイされています。
▲実際に購入したのがこちら。値段は1点あたり20€〜150€(約¥2,400〜18,000)で、古いものから比較的新しいものまでいろいろ混ざっています
コイン入れや小物入れとして使えそうな丸い象牙のケース(上写真・左手前)は蓋を開けると古い切手がたくさん入っていて、以前の持ち主が切手入れとして使用していたことがうかがえます。表面にあやめの花を凹凸で表現したシルバーの小さなメモ型ペンダントトップ(上写真・中央)は小さな鉛筆付き。以前はこれを首から下げ、大事なことをメモしていたのでしょうか? そして、亀の甲羅でできているというシガレットケース(上写真右手前)はとても軽くて、表面にはキレイな模様も入っていて名刺入れとして使えそうです。
店主から「まとめて買ってくれるなら安くするよ」と嬉しい言葉をもらって、合計金額310€(約¥36,120)のところ250€(約¥30,000)にディスカウントしてもらいました(支払いはクレジットカードを使用)。
|蚤の市に出店するきっかけって?
こちらは「アンティークジュエリーが見たい」という希望に沿って何軒か連れて行ってくれたお店の1つ。
ソレーヌさん自身も何度か購入したことがあるというお洒落なマダムが営むお店で、インパクト大の素敵なイヤリングを中心に、時代も素材も様々なたくさんのアクセサリーを取り扱っています。
その次にお邪魔したのは、上のジュエリーショップのそばにある雑貨店。
こちらの店主、実は先ほどのアンティークジュエリーのお店のマダムの息子さん。イラストレーターなど他の仕事も持つマルチプレイヤーで、ソレーヌさんによると「平日は学校に通っている」のだとか。
▲この雑貨店で購入したユニークなデザインのお皿は1960年代のもの(2枚で15€=約¥1,800)
この親子のように、親がお店をやっているとその子供もお店を始めるというパターンはやはり多いとのこと。知り合いから「お店を出さないか?」と声をかけられることも実際多いそうで、「蚤の市に出店することが目標」というソレーヌさんもここでたくさんの人脈を作っているそうです。
|お買い物を満喫したらボリューム満点の“蚤の市ランチ”を
続いて向かったのは、道路を挟み反対側、アーケードになっているエリアへ向かいます。
アーケード内には年代物の書籍やポストカード、ポスターなどを扱うお店が多数。
優しそうなおじさまが店主のこちらのお店では、フランス各地の風景が描かれた使用済みポストカード(1枚1€〜)に目を惹かれました。
▲ポストカードは実際に使用されていたもので、切手や消印はもちろん、見知らぬ誰かへのメッセージが書かれています
大切な人への言葉なのか、パリ旅行の思い出についてなのか、フランス語が読めないので内容はわかりませんが、ポストカードに描かれたノスタルジックな風景と相まって、ふと心が温まってくる感じがしました。
そして、最後にソレーヌさんと向かったのが、クリニャンクール蚤の市に隣接するレストラン「Le Voltaire」。
賑わう店内は満席で、外のテラス席で食事を楽しみます。ボリューム満点の食事メニューは15€(約¥1,800)前後、ワインはボトルで25€(約¥3,000)前後とパリの中では比較的リーズナブルな価格設定。
▲サラダとたっぷりのフライドポテトを添えた「鴨のコンフィ」(15€=約¥1,800)
▲「フォアグラのテリーヌのサンドイッチ」(13€=約¥1,560)
いずれも2人でシェアしても良いボリューム感で、あっという間にお腹いっぱいになってしまいました。「蚤の市の歴史を考えるとリーズナブルに美味しいものがたくさん食べられるこういうレストランは貴重なの」とソレーヌさん。おかげで蚤の市の歴史を学びながらお気に入りの品々を見つけることができました。
「1人でじっくり吟味しながらお気に入りの品を見つける」のが理想的な蚤の市の歩き方と言えますが、ソレーヌさんのように日本語堪能で、蚤の市を知り尽くした目利きのできるガイドさんと一緒に巡ると、欲しいものが見つけやすかったり、価格交渉しやすかったりと有意義に蚤の市散策を愉しめるはず。ソレーヌさんによれば「見たいものを事前に伝えてくれれば最適な散策プランを作れます」とのことなので、ぜひ出かける前にソレーヌさんが主宰する「パリ旅ツアー」に相談してみてくださいね。<text:yoko photo:beauty news tokyo編集部> ※1€=約¥120にて計算(2020年2月現在)
2020/02/16| TAGS: lifestyle
アクセサリー
アンティーク
ヴィンテージ
お出かけ
お土産
クリニャンクール蚤の市
ショッピング
トレンド
パリ
ファッション
フランス
レポート
海外旅行
蚤の市
観光
雑貨
きれいのニュース | beauty news tokyo