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【インタビュー】パフォーマー・ホナガヨウコさん

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ーモデルとパフォーマーとでは、意識する点も求められる事もまったく違うように思います。
ファッション撮影の場合、重要なのはもちろん洋服を綺麗に見せることです。しかし撮影では非常に小さなポーズ、たとえば目をどれくらい伏せるかといった細かなレベルの動きや表情の指定があるんですよね。舞台では一番奥のお客様にもわかるように表現しなくてはならない。しかし映像や写真は、コンマ何秒、数ミリ単位で違うんです。モデルの仕事を始めた当初は「そんなに違うものなの?」と驚きましたが、その繊細な差でもまるで印象が変わってしまう。ただ立ってるだけでは服の良さも、身体のラインも綺麗に見えないんですよね。

4×5写真展「opaque」レセプションアクト  photo : Kazuki Watanave(4×5 SHI NO GO)

これがとても勉強になり、自分のパフォーマンスにも影響しました。つまり、客観性が生まれた。舞台は自分が主体のものではなく、お客様も含めたみんなで創り上げているものであり、外からはどんなふうに見えているのかを常に考えなくてはいけない。舞台の中で自分がどの位置にいたら絵になるのか、ということから、細かな仕草のレベルまでをすごく考えるようになりました。

ーお仕事において自身の岐路になったと言える作品は何ですか?
2008年に発表した『たたきのめすように見るんだね君は』という作品。前々から好きだったミュージシャン「サンガツ」に演奏を依頼し、衣裳は以前にファッションショーでお世話になった「YAB-YUM(ヤブ・ヤム)」に、スタイリストやヘアメイク、紙制作物のデザイナーなどのスタッフもそれぞれ依頼して…という、すべて自分でコーディネートして形にした作品です。音楽とファッション、パフォーマンスの融合、まさに今の自分の活動の基盤となる試み。「ホナガヨウコ」というブランドをどういうものにするかを定義した作品になりました。
音楽と身体で表現することってどういうことなのか、自分のやりたいことのスタイルは何なのか、という一番ベーシックな部分を表現した、まさに最初の作品であり「代表作」。自分が信頼する、好きな人々と一緒に作ることが出来るというのは、作家冥利に尽きますね。非常に思い出深いです。

ー音楽とパフォーマンスの融合、ホナガさんはそこにどんな効果を期待するのでしょうか。
たとえば映画や舞台で使われる音楽が、その作品のために作られていない曲の場合もありますよね。その時に「こういうシーンでこの曲がかかると、こんな気持ちになるんだ!」という感動があると思うんです。つまり、付加価値が芸術作品によって作られる。楽曲がもともと持っていた以上の力を発揮することがあるんです。また別の次元の景色が見えてくるというような効果って素晴らしいな、と。私がそのプラスαを作れたら、すごく幸せですね。

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