空を飛んでみたいというのは、誰もが一度は抱く夢。大人になってもその夢を追い続け、不朽の名作アニメの美少女が空を翔けるあの翼を、現実のものにしようとするアーティストがいる。
メディアアーティストの八谷和彦氏といえば、人気キャラクターのモモを生んだメールソフト『ポストペット』の開発者。しかし今では、ヒコーキを造っているアーティストとして認知されている。八谷氏が2003年より始動した、個人的に飛行装置を作ってみるプロジェクト「OpenSky」では、ジェットエンジン付きのスケートボードや、ゴム索引で飛行する一人乗りグライダーを経て、幾多の困難を乗り越えながらも機体にジェットエンジンを搭載した無尾翼機のM-02Jで試験飛行を行う段階段階に迫っている。
このタイミングで 3331 Arts Chiyoda のメインギャラリーでは、「OpenSky」10年の軌跡を振り返る展覧会『八谷和彦 個展「OpenSky 3.0 – 欲しかった飛行機、作ってみた – 」』を開催。本展は「OpenSky」(熊本現代美術館、2003年)、「OpenSky2.0」(ICC、2008年)に続く、3度目のアップデートとなる展覧会で、OpenSkyプロジェクトの集大成とも言えるもの。
ジェットエンジンを搭載した「M-02J」と「M-02」の実機を中心に、パイロット視点の記録映像で飛行を追体験できる「M-02映像シミュレータ」や、「M-02J」の実機から型を取ったボディに乗り、リアルに搭乗している感覚が味わえるフライト・シミュレータ「M-02Jフライトシミュレータ」などの体験もできる。
また本展には、八谷和彦氏が活動に関わっている「すすめ!なつのロケット団」を併設展示している。こちらは、ロケットを愛する民間の人たちが、衛星軌道投入用ロケットシステムを開発する「なつのロケット団」の活動記録。これまでに打ち上げた機体や、実験に失敗して破壊されたロケットなども展示されている。さらには、本プロジェクトのファウンダーである堀江貴文氏が出所直後に行った、ロケット打ち上げ実験(結果は爆発 !?)の直前・直後の表情なども。楽しくもドラマチックな記録の数々は大いに興味深い。
なお、「M-02J」は、航空局の許可を待って、2013年中にジェットエンジンを使った本格的な飛行実験を行う予定だ。コンテンツと技術、日本ならではの “飛翔するアート” にこの夏、大注目したい。
text::チバヒデトシ(千葉英寿)
最先端の現代美術からデザイン・トレンド、今期のアニメや特撮まで網羅するクリエイティブ全般に鼻の利くジャーナリスト。ブログよりもFacebook、Twitterでのリアルタイムな特性に着目して、新鮮な情報を提供しつづけ ている。デジタルハリウッド大学大学院客員教授。
2013/08/05| TAGS: culture
lifestyle
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