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『ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート』

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世界中のファッショニスタが心酔する、ニューヨーク五番街の超高級デパート「バーグドルフ・グッドマン」。その歴史と舞台裏を綴ったドキュメンタリー映画『ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート』が公開中だ。

 本作で描かれるのは、「バーグドルフ・グッドマンは、いかにして成功したか」。そのことが、ジョルジオ・アルマーニ、カール・ラガーフェルド、マノロ・ブラニク、クリスチャン・ルブタン、マーク・ジェイコブスにボビー・ブラウン……ファッション界の錚々たる大御所たちから新人デザイナー、そしてバーグドルフの“中の人”まで175以上にのぼるインタビューによって繙かれていく。

 また、世界一と称される独創的で美しいウィンドウ・ディスプレイの製作現場にも密着。若い頃によく見に来ていたというマノロ・ブラニクも「あの魔法は今も解けていない」と絶賛する、芸術の域とも呼べるような展示は、一生に一度はこの目で見てみたいと思わされる。

 単なるデパートの宣伝映画? そんな超高級デパート、庶民には無縁だわ! なんて思うかも知れない。でもそんな先入観で見逃してしまったら勿体ない。この映画の魅力は、大御所デザイナーへの貴重なインタビューや、美しいファッションが拝めること……だけではない(それだけでも十分魅力的だが)。一番素敵なのは、不況が続きすぎて、もはや不況がデフォルト!という感じの現在にも、まだまだアメリカン・ドリームが健在であることを知らしめてくれこと。つまり単純だけれど、すごくやる気と元気が漲ってくる映画なのだ。

「ファッション業界で服を作る以上、バーグドルフに自分の服が並ぶのを見たかった」と話す、マーク・ジェイコブス。

「ファッション業界で服を作る以上、バーグドルフに自分の服が並ぶのを見たかった」と話す、マーク・ジェイコブス。

 例えば、バーグドルフに見いだされたデザイナーは、その後の人生やキャリアが約束されたようなもの。バーグドルフで働くトップクラスの販売員の年収は、なんと約5千万円。そして何より、112年前に小さなテーラーからスタートし、現在では世界のファッションシーンの牽引者にまで成長したバーグドルフ・グッドマン自体が、まるで夢のような存在だ。

SATCや『プラダを着た悪魔』の衣装を担当した、カリスマ・スタイリストのパトリシア・フィールドも絶大な信頼を寄せるバーグドルフ。映画版SATCの2作目公開時には、SATCをイメージしたウィンドウ・ディスプレイをパトリシア自身が手がけた。

SATCや『プラダを着た悪魔』の衣装を担当した、カリスマ・スタイリストのパトリシア・フィールドも絶大な信頼を寄せるバーグドルフ。映画版SATCの2作目公開時には、SATCをイメージしたウィンドウ・ディスプレイをパトリシア自身が手がけた。

 この映画がビジネス・ストーリーとして、また成功物語としても魅力的なのは、「僕ほどファッション界の外にいる人間はいない」と語る監督のマシュー・ミーレーが、とても広い視点でバーグドルフを捉えているからに他ならない。

 下手なビジネス書なんかよりずっと面白くて価値がある本作。むしろ、ファッションと縁遠い人にこそ観て欲しい。

 

『ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート』
Bunkamuraル・シネマほかにて公開中!

監督:マシュー・ミーレー
出演:リンダ・ファーゴ、ベティ・ホールブライシュ・デヴィッド・ボーイ ほか
配給:ショウゲート
2013/アメリカ/英語/94分
http://bergdorf.jp

 

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