創業は室町時代後期、480年以上の歴史をもつ老舗の和菓子屋『とらや』で、「猫」をモチーフにしたお菓子が誕生! デザインを手がけたのは、猫とクリエイターをテーマにしたWEBマガジン「ilove.cat」。期間限定のお菓子は、とらや東京ミッドタウン店で開催中の「甘いねこ展」に合わせ販売中だ。
まるっとして、やわらかくて、気ままに過ごす猫たち。そんな姿が想起されるキュートな和菓子は、全3種類。猫がモチーフのお菓子といっても姿・形をそのまま模さないあたりに、作り手たちの猫を見つめる“愛情”と“技”がうかがえる。古来より猫は数多くの文学にも登場するが、その愛らしい姿だけでなく、どこか哲学的で詩情を誘う存在として描かれているのかもしれない。
「猫はうえのかぎりくろくて、腹いとしろき。」『枕草子』の一節に登場するこの言葉から生まれた羊羹『にけ』は、煉羊羹と道明寺で二毛柄を表現。猫がぴんと耳をすませる様子をイメージした『すませば』では、その神妙な面持ちに、梶井基次郎の小説の一節、「猫の耳とはまことに可笑しなものである。」なんて言葉が思い起こされる。
とらや東京ミッドタウン店で開催されている「甘いねこ展」では、日本人が書物の中で描いてきた猫の姿をテーマに合わせて紹介。テーマ「ねこと日本人が辿る千年の歴史」では、先述の『枕草子』をはじめ、『源氏物語』『更級日記』など、千年の昔から猫は人々の姿によりそってきたことがわかる展示が。
そして近代文学においても猫はさかんに登場する。「作家とねこの甘い関係」では、『我が輩は猫である』の夏目漱石はもとより、谷崎潤一郎から内田百閒、猫好きとして有名な小説家・町田康まで、彼らが描く猫への愛情がうかがえる一節をピックアップしている。
猫の人形といえば、やっぱり招き猫。いつからか「福を招く」ものとして、日本全国の商店や家々で大事にまつられてきた。本展では、伝統工芸として受け継がれてきた様々な猫の郷土人形も展示。日本最古の郷土玩具のひとつである京都の伏見人形に代表される「黒招き猫」をはじめ、数千近い招き猫をまつった東京・世田谷の豪徳寺にある「招福猫児」、高崎だるまで有名な群馬・高崎の「高崎張り子 豊岡招き猫」などなど、18点におよぶ猫人形が並ぶ。
文学から郷土人形まで、長い歴史をもつ猫の姿を紹介し、猫と日本人の関わりを広く伝えるとらや東京ミッドタウン店の「甘いねこ展」。日本人と猫の紡いできた長き歴史に思いを馳せながら、とらやの「甘いねこ」を楽しむのもいいだろう。
第30回企画展 「甘いねこ展 」
会場: とらや東京ミッドタウン店内 ギャラリー
(東京都港区赤坂 9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア地下1階)
会期: 2013年 9月 25日(水)〜12月 16日(月)
開館時間: 11:00~21:00(店舗営業時間と同じ)
休館日:ミッドタウン休業日に準ずる
協力: ilove.cat(敬称略)
2013/11/21| TAGS: culture
lifestyle
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