創業者亡きあと低迷していたシャネルを見事に救い、一時は4つのメゾンのデザイナーを兼任。30年に渡ってファッション界を牽引し続けているレジェンド超人、カール・ラガーフェルド。その仕事とプライベートに密着したドキュメンタリーが、本国フランスでの公開から6年を経て、ついに日本初公開☆
年齢すらも公にせず、トレードマークのサングラスの奥のまなざしは決してうかがい知ることができない。謎に満ちたカリスマ、カール・ラガーフェルドに、2年間・300時間に渡って密着した本作。最初にスクリーンに映し出される大量の本、大量のクロムハーツ、大量のiPodが溢れる自宅に圧倒され、「トイレを汚す者はシャネルにあらず」と書かれたトイレの貼り紙に笑わされ、サングラスを外してつい雑誌を読みふける姿にほっとさせられ、「一番好きな画材は修正液」と言いサングラスを外してデザイン画に没頭する姿。そのどれにも魅せられる。
美しくて禍々しい。アイコニックな姿だけでも我々を魅了してしまうラガーフェルドだが、それだけじゃない。本作で最も注目すべきは、口から発する言葉のすべてが名言といっていいほどの、ラガーフェルドの “言葉の魔力” である。この映画、全編に渡って名言のオンパレードなのだ。
「私がこの仕事を愛するのは答えがないからだ」
「友情と呼ばれるものは相手への無関心にすぎない」
「現在より昔のほうがよいのなら、努力をする必要はないし窓から飛び降りればいい」
「ファッションは はかなく危険で理不尽だ」
唯一無二の人生哲学が詰まった、まるで名言集のような映画。……ちなみに劇中、ヴィヴァルディの「四季“冬”」が流れるシーンがあるのだが、華やかな世界に身を置きながらどこか孤独を感じさせるラガーフェルドの生き様とマッチして、本当に美しい。
ファッション好きはもちろん、名言好きや、ついつい生まれてくる甘え心をぴしゃりと断罪して欲しい人にもおすすめの映画だ。
『ファッションを創る男 —カール・ラガーフェルド—』
11月16日(土)より、シネマート新宿ほかにて公開!
監督・撮影・カメラ・録音:ロドルフ・マルコーニ
出演:カール・ラガーフェルド、ニコール・キッドマン、モナコ王妃カロリーヌ
配給:アルシネテラン
2007/フランス/フランス語・英語/89分
http://www.alcine-terran.com/lagerfeld/
2013/11/15| TAGS: culture
lifestyle
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