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鼓童ワン・アース・ツアー〜神秘

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『神秘』一幕「あじゃら」 photo:Takashi Okamoto

佐渡から日本全国、そして世界へ。太鼓を中心とした伝統的な音楽芸能を現代的な舞台作品へと昇華させる「鼓童」。先日、千秋楽を迎えたばかりの公演「鼓童ワン・アース・ツアー2013〜神秘」の舞台裏へ潜入!

2013年11月下旬に佐渡よりスタートした、鼓童ワン・アース・ツアー2013「神秘」。2012年に行われた「伝説」に続き、演出に、芸術監督でもある歌舞伎俳優・坂東玉三郎氏を迎えた作品。日本各地で継承されてきた伝統芸能に、音楽・視覚的なアレンジを施した舞台に仕上げられた「神秘」は、全9都市・14公演を駆け抜けた。

『神秘』一幕「明けの明星」 photo:Takashi Okamoto

『神秘』二幕「三宅」 photo:Takashi Okamoto

各地で満員御礼も出るほど大人気の「神秘」、バックステージではヘアメイクアーティストの岩下倫之さんが手を動かしていた。2009年に上演された演目「打男 DADAN」からの縁だという岩下さんに合間でお話を伺うと、想像していた舞台役者へのヘアー&メイクアップとは少々勝手が違っているよう。

ヘアメイクアーティストの岩下倫之さん

『基本的に鼓童のメンバーは、普段は自分たちでヘアやメイクをするんです。そのためツアーのバックステージに毎日入るというよりは、最初の数日と、期間途中で入らせて頂いています。スタイルづくりの指示やアドバイスをするほか、メンバーの髪を切ったりもしています』。

ツアー中だけではなく、オフ期間中のヘアスタイルの相談にも応える。その場で髪を切ることも。『師匠!(笑) やっぱり仕上がりは全然違います』(鼓童・漆久保晃佑さん)

単純にこの演目のスタイリングだけではなく、次に予定されている演目にも配慮し、髪の長さなどにも気を配る。たとえば、次のツアーはハチマキを巻くからあまり(髪が)長すぎるとダメ、男性なら耳の上は短めのほうがいい、など。美容師としても活躍する岩下さんならではの動きだ。

自己流だったヘアメイクは、メンバーそれぞれに上達しているという。『メイクはいつも、“コンビニに行けないくらいしっかりメイクをしなさい”って注意されます(笑)』(鼓童・蓑輪真弥さん)

メンバーにとってはヘアメイクアーティストというより、“美装の先生”。会話には常に、“先生への質問”が混ざる。「自分できれいなシニョンを作るときのコツは?」「Uピンの正しい挿し方は?」「スタイリング剤はこれにしようと思ってるんだけど…」など、みんな真剣。とはいえ堅苦しいものではなく、若い世代のメンバーはまるで“兄貴”を慕うかのように、和気あいあいと会話しているのが印象的だった。

今回の楽屋は、ヘアメイク&マッサージを行う部屋と、メンバーが自分たちでヘアメイクを行う部屋とに分かれていた。岩下さんがバックステージに入ると、セルフでヘアやメイクを行っていたメンバーが順次チェックをしてもらいに訪れる。『結構うまく出来てるよ!』『ちょっと直すから5分後に来て』といった声が飛び交う。

 今回の「神秘」のスタイルは、どのように決められたのか。芸術監督である坂東玉三郎氏とのコンセプト固めについて岩下さんに伺った。

『演目の内容をふまえ、まずはヘアのビジュアルをいくつかセレクトして持参しました。それを玉三郎さんにお見せしながら、“良いもの”を選んで頂きました。いつも玉三郎さんはダメなものを指摘するのではなく、“これはいいね”という選び方をしてくださる。そしてヘアの作り込みなども非常に好意的な方なので、実際にスタイルを作っている際に「もっとこうしたら?」などの声を頂くこともあります』。

玉三郎氏はメンバーへの直接の稽古や舞台演出を行うだけではなく、ヘアやメイク現場での細やかな指示も。そこで求められるのは、臨機応変さだけではない。単純に要望に応えるだけではなく、自分ならではのアイディアをどこまで足して提案できるかだと語る岩下さん。

『いままでの自分にはなかったイメージを、自分の経験をプラスして形にできる。非常に勉強になりますし、このような現場はなかなかないですよね。面白いし、とてもやりがいがあります』。

ヘアメイクアーティスト・美容師のチカラが、メンバーたちの美意識を高めるところまでをサポートする。そして当然ながら、メンバーのたゆまぬ努力があるからこそ、総合的な舞台芸術となって実を結ぶ。公演を重ねるたび、彼らの舞台の完成度は増すばかりだ。

 

photo:[backStage]Hiroshi Mashimo (Studio WINDS)

 

「鼓童ワン・アース・ツアー2014〜神秘」

2014年5月より公演スタート!
詳細はこちらからCHECK▼

http://www.kodo.or.jp/news/20140510oet_ja.html

 


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