いま新潟県・越後妻有で開催されている「大地の芸術祭 トリエンナーレ」。2000年から3年に1度開催されている世界最大級の国際芸術祭の1つで、自然いっぱいの里山エリア一帯が会場となり、現代アート作品が展示されています。また、会場は米どころ・新潟県ということもあり、棚田の広がる絶景や実り豊かな地場のお米や野菜など「食」も楽しめるのも魅力の1つです。
1泊2日で出かけた今回の「大地の芸術祭 トリエンナーレ」。2日目の模様をレポートします。
参考:夏の里山で満喫する“アート”☆ 越後妻有「大地の芸術祭 2015」フォトレポート【1】
|宿泊するのは“恐怖体験”かも?!「夢の家」
朝一番で向かったのは、2000年の初開催時からあるマリーナ・アブラモヴィッチの「夢の家」。前回来た時(2000年)には時間が足らず訪れるのを泣く泣く断念したので、今回は絶対に見たいと思っていた作品の一つです。
宿泊した松之山温泉街から、山道を少し登って行ったところにある「夢の家」は宿泊可能な作品。駐車場に車を停めて歩いていくと、田んぼの奥に黒々と立派な屋根が見えてきます。
古い民家を改修したという建物の中に入ってみると、風通しが良くとても過ごしやすくて、ここなら気持ち良く泊まることができそうだなと思ったのだけど、実際に宿泊する部屋を見てその気持ちは一変!
最初に見た「赤の部屋」は、窓に赤いフィルム?みたいなものが張られていて部屋全体が本当に赤く、目がチカチカして全く落ち着きません! ここで夜1人で宿泊することを想像すると、怖い夢しか見ることができないような、何とも言えない恐怖を感じます。
次に見た紫、青、緑の部屋も赤の部屋よりは落ち着くけど、部屋全体がそれぞれの色一色に染まり、日常との隔世感がたまりません!!
【青、緑の部屋は、ベッドに横になると、どこまでも高い屋根裏が見える】
部屋の色と同じパジャマを着用して棺桶のようなベッドに眠るのですが、「どんな夢が見られるのか…」と考えていたら、だんだん興味が湧いてきて、やっぱり泊まりたくなってきてしまいました!
トリエンナーレ開催中は、宿泊予約はいっぱいのようですが、是非、いつかは泊まって確かめてみたいなと思います。
【「夢の家」の隣にある蔵では、ジャネット・ローレンスの「エリクシール/不老不死の薬」が展示されている】
【「夢の家」の周辺ではその他にもローレン・バーコヴィッツの「収穫の家」やロビン・バッケンの「米との対話」も鑑賞できる】
|廃校全体がアート作品に!!
「夢の家」からしばらく車を走らせて、クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマンの「最後の教室」に向かいます。旧東川小学校の校舎全てを使った大規模な作品です。
まずは体育館から入っていきます。藁を敷き詰めた体育館は前に進む事がなかなか困難なほど暗くて、天井から吊るされた沢山の電球やキラキラした映像によって幻想的な感じ…
学校という場所だからなのか、夏だからか…暗い校舎の中を歩いていると何となく肝試しをしているような感覚になります。鑑賞に来ていた子どもたちが「こわいー!!」と泣きたくなるその気持ち、大人の私でもわかります(笑)
学校なのに人がいない…「人間の不在」を表現しているというこの作品。校舎の1階、2階、3階と歩いて回るうちに“喪失感”が満たされていく感じです。
|アートを通じて国際交流!!
旧東川小学校を後にして、旧三省小学校を利用した宿泊施設「三省ハウス」へ。急な坂を上ったところにある「三省ハウス」からは、集落を見渡すことができます。
訪れた時には、日本の学生とフランスの学生とが一緒になって、近々発表するという作品を制作している最中でした。
食堂で熱く意見を交わす様子は“青春”を感じる一コマ。
作品制作を通して、異なる文化・世界観に触れ、お互いにリスペクトし合う体験は、きっとこのような世界的規模の芸術祭ならではだと思います。学生時代に戻って、参加したい衝動に駆られます。。。
|お楽しみ♪「里山ランチ」を満喫!!
そろそろお腹も空いてきたかな…というところで、松代エリアの中心まつだい雪国農耕文化村センター「農舞台」へ向かいます。まつだい駅前にあるこの「農舞台」は2階がギャラリーとなっていて、一帯では沢山の作品も点在しています。
【「農舞台」の屋上やまつだい駅からも見る事ができる草間彌生の「花咲ける妻有」は迫力満点!!】
いよいよ「越後まつだい里山食堂」でランチです。ビュッフェスタイルで、新鮮な野菜や山菜を使った何種類ものできたて料理を楽しむことができます。
【里山ビュッフェは大人¥1,500。地元で収穫された美味しい野菜をお腹いっぱい食べられて大満足☆】
ランチの後は車で山道を登り、イリヤ&エミリア・カバコフの新作「人生のアーチ」を見に行くことに。この作品はアーチの上に5体の像が並んでいます。像自体は真っ白でとてもキレイなのですが、人生の悲壮感が漂う作品です。
【卵のようなものから人間の頭がのぞいている。次に、四つん這いの「少年の像」「光の箱を背負う男」「壁を登ろうとしている男。あるいは永遠の亡命」「終末、疲れた男」と順に並んでいる】
|彫ることで再生された「脱皮する家」
あちこちに広がる棚田を車中から眺めながら、最後にどうしても見たかった鞍掛純一+日本大学芸術学部彫刻コース有志による「脱皮する家」へと向かいます。
空き家の壁や柱、床、ありとあらゆる場所を彫刻刀で彫ったもの。行く前に写真で見ていたけれど、現物を見て改めて圧倒されました。彫刻刀でここまで彫れるのかとビックリ!
【こちらも宿泊可能(5月〜10月)な作品。自然に囲まれ、何も邪魔されることのない静かな場所で一夜を明かしてみたい!】
レポートは以上です。
1泊2日の滞在だったのでまだまだ物足りない気分はしますが、見たかったアート作品をできるだけ見ることができて、大満足の2日間でした☆
もちろんアートだけでなく、里山の大自然の美しい光景と美味しい食にも触れることのできる「大地の芸術祭 トリエンナーレ」。今年度の会期は2015年9月13日(日)までと残りわずかとなっていますが「日帰り」でも楽しめますので、まだ出かけてない方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
<参考リンク:アートと里山をめぐる日帰りコース(東京方面から)>
「大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2015」
2015年7月26日(日)〜9月13日(日)
開催地:越後妻有地域(新潟県十日町市、津南町)
主催:大地の芸術祭実行委員会
共催:NPO法人越後妻有里山協働機構
作品鑑賞パスポート:大人¥3,500/高・専・大学生¥3,000
2015/08/30| TAGS: culture
lifestyle
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