身体と同様に、こころもエクササイズが必要。週に1本映画を観ることで、こころの筋肉をしっかりと動かし、“きれい”を活性化しませんか? そんな“きれいになれる”映画を毎週紹介する【うるおい女子の映画鑑賞】。
第9回のテーマは「別れの機微は宝物」。ご紹介するのは、ウディ・アレンが監督と主演を務め、若きダイアン・キートンと共演したラブストーリー『アニー・ホール』です。1977年アカデミー賞主要4部門を受賞したことで、生ける伝説ウディ・アレンの代表作として今なお人気の高い作品です。
『アニー・ホール』ブルーレイ発売中 ¥1,905(税抜) 販売・発売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ※2015年11月21日現在
1977年の作品ではありますが、映画の内容と並行して目が奪われるのが劇中のダイアン・キートンのファッション! 劇中で”おばあちゃんのお洋服をもらった”と話すこちらのルックは(写真下)、もはや伝説、素敵すぎます。
【上半身はタイトにまとめ、ヘアスタイルはラフに。最強文化系おしゃれ女子】
ユーモラスだけれどシニカルなナイトクラブの芸人アルビー(ウディ・アレン)と、歌手を目指す女の子アニー(ダイアン・キートン)はニューヨークの街で出会います。教養があり口が達者なアルビーは、奔放で素直で好奇心旺盛なアニーを文化的に”育てる”ような感覚を持ちつつも、二人の恋愛関係は、恋の始まりの常であるように、高揚感に溢れ親密さを増していきます。
【恋の始まりのふたりを包むニューヨークの風は爽やか。どのシーンも絵になる】
アニーはとっても魅力的なのに、自分にあまり自信がない女の子。頭脳明晰なアルビーには憧れに近い感情を抱いて魅かれていったのかもしれません。そんな二人の関係は、歌手を目指すアニーが勇気を出して、ナイトクラブでのオーディションのステージに立ったときから変化していきます。
【不安定で自信がなさそうなところもまた、アニーの魅力だった】
アルビーはどこかアニーを、もちろん愛を込めてですが、「可愛いおバカちゃん」という上から目線で扱っていて、夢を追ってどんどん先へ進み出した彼女に皮肉ばかり言います。皮肉はアルビーにとっては寂しさの裏返しなのですが、そんなことはもちろんアニーには伝わらず、ふたりの関係は崩壊に向かいます。そして、アルビーはアニーを失って初めて、彼女の大切さに気づくのです(恋愛の常ですね)。
【失って初めて存在の大切さに気づくアルビー。「ぼくのモノ」だったのに・・・】
たくさんのことを共有し、忘れられない愛おしい時間があって、自分と相手の皮膚に境界線がなくなるくらいに親密になって、それでも愛は終わってしまう。そして一度終われば、たとえ久しぶりに再会して昔と同じように話が弾んでも、もうあの時のような恋のケミカルは生じない。何かが決定的に変わってしまっているのです。そんな経験ありませんか?
それは、相手のことをまだ好きな気持ちがあれば悲しかったり、ひどく寂しいことのように感じたりすることかもしません。ですが、実はそれは「誰かを愛してたくさん与え合えた」という証拠で、素敵なことなのではないでしょうか。もう恋人ではいられないし、いろんな出来事や感情に傷ついたりもしたけれど、それでも相手に「ありがとう」の気持ちが持てるのは、成長の証だと思うのです。
【ふたりの関係と同様に、ニューヨークの景色も変わっていきます】
この別れの機微は、切ないけれどとても愛おしく、経験した人にしかわからない感情。女性を綺麗にやさしく、大きくしてくれる大切な感情だと思います。
『アニー・ホール』をみると、そんなことを考えさせられます。自分を形づくる上で”恋愛”は重要な要素。そしてネガティブな面ばかりにフォーカスがあたりがちな”別れ”こそ、実は、自分のコアな部分が一皮むける瞬間なのではないでしょうか。
過去の青い自分を懐かしみながら、今週末「おうちシネマ」にいかがでしょうか?
text:kanacasper(カナキャスパ)(映画・カルチャー・美容ライター/編集者)
編集を手がけた韓国のカリスマオルチャン、パク・ヘミン(PONY)のメイクブック『“かわいい顔”はつくるもの! 秘密のオルチャンメイク』(Sweet Thick Omelet/DVD付/¥1,500・税別)が好評発売中。こころもからだも豊かに美しくしてくれる日々の”カケラ”をブログで収集中。
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2015/11/21| TAGS: culture
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