【うるおい女子の映画鑑賞 第39回『きみに読む物語』(米・2004年)】
「女性」の視点で映画をみることは、たとえ生物学的に女性じゃなくても日常では出会わない感情が起動して、肌ツヤも心の健康状態もよくなるというもの! そんな視点から今回は感動必須の珠玉のラブストーリーとして知られ、格差婚についても考えさせられる『きみに読む物語』(米・2004年)を紹介します。
いつも最高なライアン・ゴズリングと、いつもたいてい素敵なレイチェル・マクアダムスの共演で、映画撮影後に2人が私生活で交際を始めたことでも話題になりました(だけど撮影中は犬猿の仲だったのだとか!)。
|ストーリー ※以下ネタバレ含みます
認知症を患い施設にいる品のある老女に、優しそうな老人がこんな”物語”を読み聞かせている。
1940年代のアメリカ南部の町で、肉体労働に勤しむ青年ノア(ライアン・ゴズリング)。そこへ、大金持ちの都会っ娘アリーが夏の間に別荘へやって来ます。稲妻が落ちるように恋に落ちたふたりは激しくぶつかりながらも愛し合いますが、身分の違いから様々な壁が多義はだかり、ひと夏の恋は突如終わり告げます。
そして年月は過ぎ、結婚式を目前に控えたアリーはノアのことを考えていました。気持ちに整理をつけるためにノアの元を訪れた彼女は、究極の選択を迫られることになります。すべてを捨ててノアとこの町で暮らすか、リッチなフィアンセと一生、安定したゴージャスな生活を送るのかーー。
映画の冒頭でこの”物語”を読み聞かせていたのは実はノア本人で、話を聞いていた認知症の老女は、夫であるノアはもちろん、自分の子供たちや孫のこともわからなくなったアリー。大恋愛の末、深い愛で結ばれたふたりは死の淵に立ってもなお、お互いを求め続けているという感動的なラストシーンが訪れます。
|結局”格差”はどうなった?
ノアの朴訥さ、身の丈をわかっている上で誇り高く生きようとする気高さ、そして、触れちゃいけない見てはいけない人間本来の”生”の性質を表情と声にちらりと見せるライアン・ゴズリングの芝居が最高かつ超絶にキュートなので、それだけでも一見の価値あり。純粋に泣けるし、若い男女の出会い、身分の違いでの別れ、すれ違い、再会、ハッピーエンドという綺麗で王道のストーリーを辿るので安定感もあります。
それで結局のところ「貧しくても愛している人と結婚するのが一番!」というメッセージに終始するわけですが「これって本当なのかな?」とこの作品を鑑賞しているウチに思ってしまったのが正直なところ。
施設にいる老人になったふたりの身なりはキレイで、娘たちや孫たちも裕福そうだし、何より湖畔の優雅な療養施設にいることで、中流以上の生活水準もうかがえます。
|私が”ひねくれている”だけ? それとも…
肉体労働者だったノアが、どうのようにして成り上がった(たぶん)のかが全く説明されないので、正直かなり気になって映画に集中できない…。しかも若かりし2人はとてもラブラブなのだけれど、その分喧嘩もかなり激しい激情型カップルで、相性もいいとは思えないし…。公開当時はただただ素直に感動していたというのに、十数年の年月が私をここまで変化させるとは。。。
こんなにも幸せそうで、死ぬ間際1秒まで幸せそうな2人を見て、腑に落ちないって何なんでしょう。
アリーの母親も、実は結婚前にノアのような肉体労働者と駆け落ちまでしてけれど引き離され、結果裕福な現夫の元に嫁いだとのことで、こちらは泣く泣く安定型を選んだ人生。幸せの方向は人それぞれなのでしょうが、たぶんこの母親は今の裕福な暮らしぶりに満足しつつも、昔の身分違いの大恋愛を思い出してはおセンチに浸っているのでしょう。けど、こっちの方が賢い気がする。こんな風に思うようになったのは、格差社会、不景気、将来への不安の中で恋愛・結婚を考えなければいけない我々世代の病かも。そう、私の心がひねくれてしまったわけではなく、きっとこんな世の中のせい。
|あなたは胸を張って「ノアを選ぶ!」と言えますか?
しつこいですが、ライアン・ゴズリングが青春の刹那性を体現していて、それだけでキュンキュンすることが間違いありません。結婚は考えられなかったけれど、本当に大好きだった”あの彼”を思い出しちゃうかも。大人になった今だからこそ、改めて観たい1本です。
text:kanacasper(カナキャスパ)(映画・カルチャー・美容ライター/編集者)
編集を手がけた韓国のカリスマオルチャン、パク・ヘミン(PONY)のベストセラー メイクBOOK待望の第2弾『わたし史上いちばん”盛れる”♥ 秘密のオルチャンメイクⅡ』(Sweet Thick Omelet/DVD付/¥1,500・税別)が好評発売中。
2017/05/14| TAGS: kanacasper
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