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越後妻有・上郷クローブ座レストランの食アート

食を通して雪国の暮らしと文化を知る。越後妻有「上郷クローブ座」レストランの食アート

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過疎高齢化の進む日本有数の豪雪地・越後妻有(新潟県十日町市、津南町)を舞台に現在開催中の「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ 2018」。「人間は自然に内包される」を基本理念に、農業を通して大地とかかわってきた「里山」の暮らしが今も豊かに残っているこの地域一帯に作品が散りばめられた見どころたっぷりのアートイベントです。

 

今回は美味しい食事とともに雪国の暮らしを学び感じることができる、越後妻有「上郷クローブ座」レストランをレポートします。

 

 

 

|越後妻有「上郷クローブ座」レストラン

 

旧上郷中学校を2015年夏にリノベーションして誕生した 越後妻有「上郷クローブ座」。こちらのレストランでは津南の女衆が演劇仕立てにこの地域の暮らしを伝授するとともに、地元食材を使用した特別メニューをサーブしてくれます。

 

▲2018年『北越雪譜』のメニュー

 

2018年の演目は江戸時代に鈴木牧之が雪国の暮らしを描いた『北越雪譜』がモチーフ。食のアーティストEAT&ART TAROさんが津南産の食材を使用した特別メニューを開発し、俳優の野津あおいさんがストーリーを創作しています。

 

▲食事の合間に女衆たちが幼い頃の暮らしや会場である上郷の学校の歴史などを解説

 

▲料理をサーブをする際も、女衆たちがメニューに使われている食材について地域の特徴とともに教えてくれます

 

観客たちは聞いて、見て、食べて雪国の暮らしを学んでいく。まさにアートを体験するレストランなのです。

 

 

 

|津南産の食材を用いた特別メニューをコース仕立てで

 

特別メニューは演目の進行に合わせてコース仕立てで提供されます。

 

まず1品目は「あわもち」。白米は高級品だった頃、津南ではあわでできたお餅を食していたそうです。

 

 

提供される「あわもち」は、あわのつぶつぶ感を残して「あえて美味しくならないように作っています」とサーブしてくれる女衆は話していましたが決してそんなことなく、つぶつぶ食感と素材の甘みたっぷりでおいしかったのがとても印象的。普段あまり食べることのない食材の新しい旨味の発見ができました。

 

 

2品目は「津南の夏野菜 冷たいロールキャベツ風」。

 

 

キャベツを雪に見立て、雪が上に被っているような演出で提供されたこの1皿。キャベツの下には名産のいとうりやズッキーニ、ミョウガ、オクラが隠れていました。

 

 

どのお野菜もとても味わい深くて食感も良く、津南産の野菜の旨味がギュッと1皿に詰まっている印象。周りに散りばめられた“つぶし豆”も香ばしく、新しい味との出会いになりました。

 

 

3品目は「枝豆のポタージュ」。

 

 

スープの上に浮いているのはお米。、牛乳と塩胡椒だけの味付けでここまでの味わい深さは、やはり素材の美味しさの成せる技といった印象でした。

 

 

そしてメインとなる4品目は「自家製グローブ座ハム」。

 

 

豚肉をクローブに長時間漬け、その後2時間茹でたというハムは余分な脂分が抜けてヘルシーな一品。柔らかくジューシーな味わいが印象的でした。

 

▲付け合わせの新鮮なトマトのマリネをソースにしても美味。野菜は朝露で一番美味しい朝4時頃に収穫しているそう

 

 

5品目は「さいこうのおにぎり」。もちろん津南産のコシヒカリが使用されています。

 

 

お塩だけで握られたおにぎりに手作りのお漬物のコンビは“最高にシンプルな贅沢”といっても過言ではないでしょう。おにぎりにかじりつく瞬間、癒師まで感じるありがたい味わいでした。

 

 

最後の6品目は「雪下にんじんゼリー」。

 

▲秋口に収穫するべきにんじんを雪の下にそのままにしておいて、翌春に除雪して収穫するという雪下にんじんはとてもフルーティー。雪国ならではの知恵の詰まった食材です

 

雪に見立てたヨーグルトがのった、雪下にんじんの優しい甘みを愉しむヘルシーなデザートでした。

 

 

 

|「食」こそ文化・芸術の最も初歩的な現れ

 

文化・芸術の最も初歩的で基本的な現れは「食」であるという理念のもと、「食」を通して地元の人たちが芸術祭の主人公になってほしいと考えているという大地の芸術祭。まさに美味しい食事と温かなおもてなしで、心もお腹も満たしてくれる越後妻有「上郷クローブ座」レストランは1つのアート作品と呼べるでしょう。

 

特に「雪が沢山降って大変な暮らしをしているではなく、沢山降る雪のおかげでこんな生活ができて、こんな美味しいものがいただける」という女衆の言葉はとても印象的でした。

 

▲楽しい時間はあっという間! 仲良くなれたお母さんとのお別れに寂しさも感じます。最後のプレゼントは手作りの袋に入った爪楊枝でした

 

この里山で開催されている「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ 2018」はアートによる地域づくりの先進事例として、国内外から大変な注目を集めています。地域に積層してきた時間を浮きあがらせるアートを道しるべに、五感を開放する体験にぜひ出かけてみてくださいね。<text:下重佳奈子 Kanako Shimoshige photo:beauty news tokyo編集部

 

 

越後妻有「上郷クローブ座」レストラン 2018年7月29日(日)~9月17日(月) 時間:11時40分〜12時30分、13時30分~14時20分 料金:¥2,000 幼児無料(料理不要の場合) 定員:40名 予約・問:https://select-type.com/s/clove-rest 025-755‐5363 ※別途、大地の芸術祭作品鑑賞パスポート提示、または香港ハウス共通券(¥500)が必要


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