東京23区よりも広い里山エリアに、約380点ものアート作品が展示される「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」。2000年より3年に1度開催されるこのアートイベントは今回で7回目の開催を迎えています。冬は雪深くなるこの土地で育まれた美味しいお米や野菜を使った食事や温泉、美しい棚田の風景とともに多彩なアート作品を愉しめます。
|夏のアート旅のスタートは越後妻有里山現代美術館“キナーレ”から
2012年に現代美術館としてリニューアルオープンした越後妻有里山現代美術館“キナーレ”は、越後妻有がどんな土地なのか理解を深めることができるので、アート旅のスタートに訪れてみてください。
▲開館時間は9時〜19時。フォトジェニックな作品も多数。館内のオフィシャルグッズショップで販売されている作品がプリントされたトートバックやTシャツなどを身に着けて作品鑑賞するのもオススメです
越後妻有の地勢歴史をテーマとした常設展示に加え、2018年の新作を鑑賞することができます。それでは、この“キナーレ”の見どころをチェックしてみましょう。
|ランチは「ザ おこめショー」で決まり!
キナーレ館内にあるお食事処「越後しなのがわバル」(営業時間:11時〜17時)では、会期中毎日、越後妻有各地のお米が試食できるショー「ザ おこめショー」が1日3回(12時30分〜、13時30分〜、14時30分〜)開催されています。事前予約制となっているので、キナーレ到着時にメインエントランスまたは「越後しなのがわバル」の店頭で予約しましょう。
▲ザ おこめショー/EAT&TARO 料金¥2,000(お弁当代含む)
「ザ おこめショー」では越後妻有のお米について学べ、その後越後妻有の各エリアで育ったお米を試食。そして、お気に入りのお米で作ったおにぎり(2個)を旬の地場食材を使った惣菜と一緒に味わうことができます。
お米の艶や形、口に入れたときの香りなど、同じコシヒカリでも各エリアで微妙な違いに気付くことができるはず。また、アート作品を巡るといたるところで美しい棚田を目にするのですが、このショーに参加しておくと、また違った目で風景を愉しめますよ。
▲越後松代棚田群 「蒲生の棚田」
|特別企画展「2018年の方丈記私記~建築家とアーティストによる四畳半の宇宙~」
キナーレ1階の回廊では特別企画展「2018年の方丈記私記~建築家とアーティストによる四畳半の宇宙~」が開催され、28個の“四畳半”の小空間が集まっています。あちこちで各作品に夢中になっている子供たちの姿を目にしました。
■伸び家/ドットアーキテクツ
■builds crowd~街の記憶~/栗真由美
ハンドルを回すことで上下に動く「伸び家」。子供たちは夢中でハンドルを回しています。ようやく中を覗き込めるまで上にあがると、その天井にはカラフルなライトボックスで作られた越後妻有の家々を描いた「builds crowd~街の記憶~」が飾られています。
■ASOBIBOX/asoview!×OKAHON
「越後妻有の雪」をテーマにしたこの作品は、真夏でも雪合戦を愉しめます。四畳半の部屋の中で、全力で楽しんでいる子供たちの姿が印象的。デジタルの雪に果敢に挑む子供たちのパワフルさに圧倒されつつも「子供たちのように作品を純粋に愉しみたい!」という気持ちが芽生えてきます。
■asobiba/mimamoriba/井上唯
子供だけしか入れない四畳半の空間です。中に入った子供たちは、意外と思った場所にたどり着けないようで行ったり来たり。ネット状で完全に姿が見えなくなることはないので安心して子供たちの奮闘ぶりを見守ることができます。
■スタンディング酒BAR 酔独楽・よいごま/KIGI
大人も夢中になれる小空間と言えばこの作品。白と黒の2つのサイコロを振り、出た目によって、振舞われるお酒の種類と盃の大きさが決まるというゲームを愉しめます。
日本酒の種類は純米酒、純米吟醸、純米大吟醸の3種類。盃は4つの大きさがあります。用意されている日本酒は「霧の塔」という越後妻有の酒蔵・津南醸造さんのもので、館内のオフィシャルグッズショップで購入することも可能です。もちろん子供たちも参加できるように、ジュースバージョンもあります(日本酒 ¥600、ジュース ¥400)。ジュースは地元産のジュース3種類が用意されていますよ。
▲「大きい盃で沢山飲みたい!」と思いながらサイコロを振ったところ、出たのは2番目に小さい盃。スタッフの方によると無欲な子供たちの方が、大きい盃の目を出すことが多いそう
盃の底は三角になっていて置くことのできない“可杯(べくはい)”と呼ばれるもの(作品には専用スタンドが用意されています)。
盃自体が独楽になっているので、お酒をいただく前に美しく回る独楽の様子も愉しめます。
■越後妻有コラボ甘味屋台
特別企画展の会場で一際目を惹いた可愛らしい屋台。その魅力に吸い寄せられるように近づくと、作家さん自ら美味しいハーブティーを入れてくれました。この屋台では、地元の農家さんや十日町にある6軒のお菓子屋さんと一緒に試行錯誤をしながらつくりあげた9品が販売されています。
▲保存料や化学調味料は一切使用されていません
お菓子のパッケージデザインは、今年のゴールデンウィークに開催されたワークショップで地元の子供たちが描いた野菜や果物の絵がもとになっています。
「こんなにたくさんの絵があっても、子供たちは自分の描いた絵がすぐに分かるみたいで『これ私が描いたやつ~』って言うんですよ!」とパッケージを手がけたYORIKOさんは笑顔で話してくれます。
▲左:YORIKOさん
また、屋台では地元の農家さんの新鮮野菜も販売されています。YORIKOさんによれば「農家さんが丁寧に育てた野菜はどれもとても美味しいのですが、特に枝豆が人気」とのこと。小さな屋台が越後妻有の人々と私たちを食を通して繋いでくれているようです。
|ある場所から見ると完全に一致する? キナーレ中央の池を使った大型アート作品
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」が開催されるたびに大型作品の舞台となるのが、キナーレ中心の大きな池。今回はレアンドロ・エルリッヒの「Palimpsest:空の池」が展示されています。一見すると大きな池ですが、よく見ると、水底には何かが描かれていることがわかります。
そして、キナーレ2階のある場所に行くと、周りの建物と池の中の像が完全に一致し、美しい絵が浮かび上がります。
池の中にいる人たちが、まるで宙に浮いているかのような不思議な絵に。何が描かれているのか、もうお気づきですよね?!
|キナーレ周辺にも作品がたくさん!
キナーレ周辺も含めると新旧の作品をまとめて見ることができるので、スケジュールに余裕がない方はキナーレを拠点にアート作品を巡るのもオススメです。
■モグラTV/開発好明
▲キナーレの建物から出ると、YouTube生配信直後のモグラ君に遭遇!
モグラに扮した作家がキャスターを務める「モグラTV」では、芸術祭参加作家や地元の人たちを地下のスタジオにゲストとして迎えるトーク番組。期間中は(火曜日以外)毎日10時~11時に生放送しています。「穴の中、暑くないんですか?」と尋ねると「中はクーラーがきいてるモグよ!」とのこと。モグラ君(作家さん)と話せるのも楽しみのひとつ。
■10th DAY MARKET/ひびのこづえ(左、右:喫茶TURN/日比野克彦)
十日町駅そばの広場にある「10th DAY MARKET」では、限定デザインのタオルハンカチやすぐに着替えたくなるような可愛いTシャツなど、ひびのこづえさんが手がけたオリジナルグッズを購入できます。葉っぱを作るワークショップも開催されていますよ。
■チョマノモリ/浅井裕介
十日町駅とキナーレを結ぶ全長170mの路面と広場に施された地上絵。広場に設置された台から見下ろすと迫力がある大きな動物に見えますが、近くで見ると可愛らしい架空の生き物が沢山隠れています。駅からキナーレまでの道のりが楽しくなりますね!
|アートと越後妻有の魅力を満喫するならオフィシャルツアーで
さらにアートだけでなく土地の特徴を味わえるオフィシャルツアーも用意されています。コースは「シャケ川のぼりコース」と「カモシカぴょんぴょんコース」の2種類。料金は大人小人ともに¥9,800/名(昼食・案内ガイド付き)です。
■オフィシャルツアー「シャケ川のぼりコース」で鑑賞できる作品
▲越後妻有「上郷 クローブ座」
▲ワープクラウド/ダミアン・オルテガ
▲最後の教室/C.ボルタンスキー+J.カルマン
▲影の劇場/C.ボルタンスキー
■オフィシャルツアー「カモシカぴょんぴょんコース」で鑑賞できる作品
▲黄金の遊戯場/富福亮
▲カサバラタ/ムニール・ファトゥミ
▲花咲ける妻有/草間彌生
▲脱皮する家/鞍掛純一+日大芸術学部彫刻コース有志
初披露となる新作や、過去作品の中でも人気の高い注目作など、今回の見どころを凝縮したツアーなので、効率良く見どころを巡りたい方にオススメ。移動中も車窓からゆっくりと越後妻有の豊かな風情を愉しめますよ。
このように美味しい食事や大自然に癒されながら、五感をフルに活用してアートを堪能できる「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」。3年に1度しかできない貴重な体験を求めて、ぜひお出かけてしてみてくださいね。<text:yoko photo:beauty news tokyo編集部>
「大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2018」 2018年7月29日(日)〜9月17日(月) 公式サイト:http://www.echigo-tsumari.jp/
2018/09/12| TAGS: lifestyle
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