ディナーは世界的な賞を受賞した浜田統之総料理長が考案したコース料理で、フレンチと発酵直材が融合する「Nipponキュイジーヌ ~発酵~」。内容は3カ月ごとに変わり、ワインや日本酒をそろえます。スタッフにお願いすれば、ワインなど料理に合わせたおすすめのペアリングも用意していただけます。
最初の一皿<萌(もえ)>は、木の芽味噌を包んで揚げたフランスのペストリー「ベニエ」と、醤油麹漬けのニンニクとチーズクリームを入れた、インドの包み揚げ「サモサ」。かごにしつらえた器からは、食を通じて人と大地のつながりが感じられます。
▲前菜にあたる<萌(もえ)>にも、味噌や醤油麹、チーズなどの発酵食品が使われます
「<石>五つの意思」は、「酸味・塩味・苦味・辛味・甘味」の五味を、それぞれ小さな料理で表現する逸品。左から順に前菜、スープ、最後がデザートというコース仕立てになっていて、真鯛に酸味のあるしば漬けを合わせた「真鯛のルーロ」、塩味を表現したグリンピースのスープ「プティポワスープ」、苦みを感じる「あさりと春菊のアランチーニ」、辛さがアクセントの「イカのメルゲーズ」、最後は白い道明寺に鯖のぬか漬けを入れた甘い「桜餅」をいただきます。
▲<石>というネーミングのとおり5つの料理は丸い大理石に乗っています
繊細で美しい作り込みに驚かされる「五つの意思」。苦みをテーマにした「あさりと春菊のアランチーニ」は、シチリアやナポリのライスコロッケ「アランチーニ」を、豆腐に麹をつけて発酵させた腐乳のリゾットで作り、サフラン粉で色付けをした可愛らしい一品です。
▲中国の発酵食品、豆腐の腐乳を使った「あさりと春菊のアランチーニ」
「<石>五つの意思」は“懐石”にちなんで丸い大理石にのせています。そのうえ大理石の温度を料理によって微妙に変え、おいしくいただけるよう工夫します。
▲辛さがアクセントの「イカのメルゲース」。辛麹を加えたイカ墨の塩辛を牛乳といしるのシートで巻いて、本物のイカに見立てます
魚料理の<尽(じん)>は初鰹の藁焼き。米麹醤(こめこうじひしお)とごま油でマリネした鰹の切り身を藁焼きにして、スモーキーな香りを楽しみながら、ニラと酒盗のソースでいただく逸品です。奥にあるキューブは鰹の血合いを使った「ブーダンノワール」。本来ブーダンノワールは豚の血液を使った腸詰ですが、鰹の血合いをハーブと合わせ、オーブンで蒸し焼きにした珍しい品。初鰹の藁焼きとともに、ここだけの味を楽しめます。
▲鰹の血合いを大胆に使い、強い印象を残す<尽>
▲赤味の鰹に合う赤ワインとして、イタリアの辛口「ヴァルポリチェッラ クラシコ サセーティ」をお選びいただきました
コースの後半に向けてアトラクティブな料理が登場。<薫(かおる)>は、桜チップの薫香が充満する器に驚く「蛍烏賊のフラン」。つい動画で撮りたくなる楽しいひと時です。
▲「蛍烏賊のフラン」は薫香が充満する器で登場
薫製したホタルイカと新玉ねぎを、羊の乳を使った濃厚なペコリーノチーズのフラン(洋風の茶碗蒸し)にトッピング。塩と醤油麹で長時間発酵させたホタルイカの魚醤で味をととのえた、和洋のマリアージュです。
▲「蛍烏賊のフラン」には、南アフリカのロバートソンワイナリー「コンスティテューション ロード シャルドネ」をペアリング
メインとなる<結(むすび)>は、西京味噌に漬けた牡蠣を牛フィレ肉で包み、旨味たっぷりのスープが際立つ鍋料理。苦みのあるせりやこごみ、トマトのコンフィの酸味とともに、繊細な旨味を感じる牛肉と牡蠣を満喫しました。
▲牛肉と西京味噌漬けの蠣は、複雑な野菜の味とともに美味しくいただきました
▲メイン料理の牛フィレと牡蠣には、ジャン・マルク・ボワイヨのブルゴーニュワインで完熟度の高い「ヴォルネイ プルミエ・クリュ ル・ロンスレ」とペアリング
お釜で運ばれた「たけのこご飯」に牛のコンソメスープをかけ、木の芽とネパールのスパイス「ティムットペッパー」、蠣エキスをしみ込ませたバターなど、3種の薬味でいただきます。スープの豊かな香りを楽しめるリゾットのような味わいです。
▲コンソメスープでいただく「たけのこご飯」は意外性十分
<実>と題されたデザートは、グラスにヨーグルトのエスプーマ(泡)とサクランボのムース、さっぱりとした発酵茶のジュレとともに、サクランボのコンポートが入ります。フレッシュなサクランボの乗った飴を割っていただきます。
▲甘酸っぱい「さくらんぼのデザート」は色鮮やか
香りを意味する<芳(ほう)>と名付けられたデザートは「文旦のタルト」。ヤギの乳で作るシェーブルチーズのアイスクリームは、ほぐした文旦の果実で包まれ、爽やかな酸味が口いっぱいに広がります。
▲文旦のスイーツは、愛媛県の佐多岬にある養蜂所で採取した蜂蜜で作る蜂蜜酒「ミサキミード」といだたきました。みかん県の蜂蜜ならではの柑橘のほのかな酸味と甘味が楽しめるデザート酒です
よもぎのマカロンは、発酵させた餡子をサンド。器の底にはよもぎ茶が入り、玉手箱のような煙が立ち込めます。
▲食後にいただく「よもぎ風味のマカロン」
味噌や醤油、塩辛など、日本古来の発酵食品や調味料にくわえ、チーズをはじめとした古今東西の発酵食材を駆使しながら、見た目を楽しみ、ときには驚かされる「Nipponキュイジーヌ ~発酵~」。スタッフにお任せしたワインとのペアリングを満喫してのディナーでした。お酒は季節やゲストの好みによっても変わるので、担当のスタッフと相談しながらお楽しみください。
|朝食はお部屋で
2022/07/06| TAGS: lifestyle
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