私は人見知りですが、地元客の話を聞くことはできます。
例えば、先日、豊橋駅西口近くの古い中華屋に入ったときのこと。
細長い店内の1階はカウンターのみ。
5時過ぎと早めの時間ということもあり、客は私1人でした。
「今、1人しかいないから、できないメニューもありますが…」
年配のおばさまが言います。
品書きの一番上に書かれている料理なら大丈夫だろうと餃子を頼みました。
大瓶からコップに注いだビールをちびちび飲みながら、
カウンター奥の天井に備え付けてあるテレビを眺めていると、
別のおばさまが1人カウンターに入ってきました。
これで注文できるメニューの幅が広がったかなと思った時、高齢の男性が入ってきます。
「いつもの」
と焼酎の水割りを飲み始め、「冷やし中華」を頼みました。
「嫌だよ。面倒くさい」
後から入ってきたおばさまが言い、
「こんな蒸し暑い日に熱い食べ物なんか食べれるか」
男性が返します。
まるで夫婦の会話のように。
おばさまが、いかに冷やし中華が面倒か、なぜ値段が高いかを説明していると、
「センセー」と呼ばれる教員らしき中年男性が入ってきました。
どうやら、この店は常連客のたまり場でもあるらしい。
「おっ?マツケンだ?」
高齢者男性がテレビに反応します。
夕方のニュース番組の中で松平健の旅のコーナーが始まりました。
どうやら彼は豊橋出身で、大工のお父様や親戚の肉屋など生家話でひと盛り上がり。
「で、俺の冷やし中華は?」
「センセー」に出す枝豆を見ながら、高齢者のおじさまがボヤキます。
「あぁ、面倒くさいなぁ。作るか」
とおばさまは厨房に入っていきました。
駅近くということもあり、その後、一気にカウンターは埋まってしまい、
結局、餃子とビールだけで、お支払いして外に出たけれど、地元の話をたくさん聞けて楽しかったです。
と、人見知りの私の場合、地元の話を聞くのは喫茶店や食堂などでの盗み聞きが多いんだよなぁ。<text:イシコ http://sekaisanpo.jp/>
2022/09/17| TAGS: lifestyle
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