仕事でもプライベートでも、「普通は〇〇」とか「普通こうするよね」「普通じゃないよね」という言葉を聞くとなんだか少し気持ちが「イガイガ」します。
普通とは、辞書によると「他と特に異なる性質を持ってはいないさま」「一般にそう考えられていること」などを言うようです。「普通」って、難しい言葉だなと思います。
たとえば、
「あなたって普通だね」とか「あなたの作品は普通だね」
などと言われたら、あんまりうれしくない…。でも、「あなたって普通じゃないよね」と言われても、なんだかモヤモヤします。
わたしが、「本当に『普通』なことって実はほとんどないのではないか?」と考えるようになったのは、「娘」と「母」としてそれぞれシングルマザーという「一般的には普通じゃない(とされている)」立場と向き合ったことがきっかけです。
・シングルマザーの「娘」として
わたしの父はわたしが生まれる前に亡くなっているので、わたしには父の記憶がまったくありません。
わたしにとって、父ははじめから「いない」ことが「普通」。そのため、自分がいわゆる「普通の家族構成」ではないらしい、と気がついたのは、少し経ってからでした。
当時はまだ、シングルマザーは周りにあまりいなかったので、たしかに「お父さんがいない家族」は少数派。ただ、「はじめから父がいない家族」だと思って育っていたわたしにとってはむしろ、「お父さんがいる方が普通じゃない」という感覚でした。
それなのに「あなたの家族構成は普通じゃないよね」とか、「かわいそうだね」という態度で接してくる人たちがいることに、当時のわたしはどうしても納得がいきませんでした。
あのとき感じた「わたしにとっての普通を世間が認めてくれないこともある」ということ、そして、自分にとっての「普通」と世間の「普通」が真逆だったことが、今も「普通」とうまく向き合えない理由です。
・シングルマザーとして
決して離婚をしたかったわけではありませんが…結果的にそれを選ぶことになり、約10年前、わたしもシングルマザーとして娘を育てることになりました。
正直、シングルマザーだということが理由でとても不愉快な思いをしたこともあるし、それこそ離婚を後悔したこともありました。それでも、娘に対して「離婚してごめんね」とは思っても、「普通の家族じゃなくなってごめんね」と思ったことは一度もありません。
「お父さんがいない家族も『普通』」「普通の形は家族の数だけある」と思っていたわたしには、多くの人が抱くであろう「お父さんがいないことはかわいそう」という思いがほとんどなかったからです。結果的にそれが、娘との関係においてはプラスになったと感じています。
「離婚してごめんね」と謝り続けるのではなく、「2人で楽しく暮らそうね」と言いながら過ごしていきたいと思いました。
ただ、それまでは 「おとうさんがいる家族」が「普通」だった娘は、一時はやはり、「普通(の家族)じゃなくなった」と感じていたようです。でも、成長するにつれて、「両親が別々に暮らしていることによるメリット」(=誕生日プレゼントなどをそれぞれからもらえるので個数が増える)を見つけるなど、「まあ、この家族の形もありか」と受け入れてくれたように思います(もちろん、今こんな風に思えるのは、元夫との関係が離婚後の方が良好で、娘と定期的に連絡をとったり会ったりしてもらっているということも大きいと思います)。
わたしが子どものときからずっと考えていた「普通」とは…結局のところ、誰からも横からいろいろ言われない(突っ込まれる要素がなくそろっているように見える)ことなのかもしれないな〜、と今は思うようになりました。たとえば家族構成でいえば、マンガ全巻のように「そろっている」が普通派、「そろっていない」がイレギュラー。そろっていなければ「なんで全20巻の5巻だけ抜けてるの?」と理由を聞かれる、というのに似ているのかもしれません。
普通ってなんだろう?
とこれからも悩むことがありそうです。でも、「これはわたしにとっては普通だけど、他の人にとってはきっと違うんだろうな。その逆もあるし。ま、『普通』の定義は人それぞれ」というくらいの距離感で、「普通」とつきあっていけたらと思います。<text:なまけるための片付け/花太郎(整理収納アドバイザー) https://note.com/namake_kataduke>
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2023/04/09| TAGS: lifestyle
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