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金沢で美味しいお店をみつけるには?【OMO5金沢片町 by 星野リゾート】のお散歩ツアー

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「金沢片町味わいまっし散歩」で教えてもらった日本料理店「CRAFEAT(クラフィート)」で夕食をいただきました。石川県産の食材を使い、金沢名物のおでんや郷土料理“へしこ”など地域に根付いた調理法もアレンジする創造性豊かなお店です。美しい器と、時にはパフォーマンスとして楽しめる提供方法で、驚きが連続するコース料理をいただきました

 

▲木倉町広場の目の前にお店を構える日本料理店クラフィート

 

クラフィートは、1818年創業の輪島塗の塗師屋(ぬしや)「田谷漆器店」が経営するお店で、石川県の伝統工芸品を器に使い、料理と共に親しんでもらうのがコンセプト。店名はCRAFTとEATの両方を主役にするという意味です。

 

▲1階はアラカルトスタイルの料理や金沢おでんなどを気軽にオーダーできるカウンター席。2階は現代和食料理を提供する予約制レストランになっています

 

料理家の奥村仁氏は常に生産者とコミュニケーションをとりながら、その時々で最も旬の素材を仕入れるほか、ときには生産者の元に出向いて共に収穫をするというこだわりぶり。そのクリエイティブな発想と腕前が、想像を超えた料理に表れます。

 

▲料理は全て輪島塗や九谷焼、山中漆器など、石川の伝統工芸品で提供。中には数十万円する高価な器も。店内では器や工芸品の販売もしています

 

この日お重に入って登場したのは、野菜をメインに据えた前菜の盛り合わせ。加賀野菜をはじめ、県産の食材が使われます。金時草を使ったポテトサラダや、加賀藩の家紋で梅の形をした最中には、県産の酒粕漬を加えたクリームチーズが入り、大根には能登の有機大豆で作った自家製味噌を添えます。甘味や旨味など奥深い味わいが詰まった前菜でした。

 

▲普段おせち料理などで使われるお重は、季節に合わせ春がテーマ。昔ながらの絵柄をモダンに描いています。

 

輪島塗の器の蓋には、ヒバで香りづけをした霧吹きをしています。これは主君の料理に誰も触れていないことを示す方法です。また、輪島塗の器は主に能登産のヒバを使いますが、匂いが感じられないので、ヒバの香りをつけています。さらに蓋の裏にも注目。こうしたひと手間ふた手間が、食事の時間を特別なものにしてくれます。

 

▲ヒバの香りがする霧吹きをした器

 

お吸い物は、能登の河豚を県産の蕪でみぞれ和えにしたもので、蕪は生のすりおろしと低温調理で甘味を引き出した2種類が使われます。出汁のカツオ節は、薄削りや厚削りなど3種類を使う風味豊かな味わいでした。

 

▲蓋を開けると美しい料理が現れます。器にはすべて違う絵柄がほどこされ、同伴者がいれば互いの器を楽しめます

 

金沢はおでんも有名。のどぐろをすり身にしたはんぺんや、色鮮やかな赤巻、胡麻の香りが心地よい輪島のこんにゃくに、かつお出汁が染み込んだ車麩など、金沢おでんを代表する具材を上品な会席料理に仕上げています。

 

▲「金沢おでん」

 

金沢港で水揚げされた鮎並(あいなめ)のお造りは、味が穏やかな能登の苺とともにいただく驚きの組み合わせ。鮎並と苺は軽く昆布締めされ、金沢の酒蔵の麹に、柚子やレモンを加えた絶品のポン酢ソースがかかります。苺の酸味が刺身の美味しさを引き立てて、思いもよらない美味しさでした。

 

 

▲赤絵の九谷焼に色を合わせたお造りは、見ても食べても見事です

 

時には演出の楽しさも! 藁と炭とお茶の茎を煎じた加賀棒茶葉で煙を出し、密閉度の高い山中塗の樹脂のお重で、香ばしい燻香を一瞬でお刺身につける離れワザ。ライブ感満点の一品です。

 

▲蓋を開けると煙が噴き出すスペシャリテ「玉手箱仕立ての燻製のお刺身」

 

軽く漬けにしたメジマグロに燻製の香りをまとわせ、ワサビと能登(珠洲市)の塩をつけていただきます。魚の鱗のように大きな結晶の珠洲の塩は、旨味が増して美味しくいただくことができました。

 

▲七尾湾で水揚げされたメジマグロ

 

加賀蓮根特有の糸を引く食感を楽しむため、170度の油でじっくりと揚げ、仕上げはお客さんの目の前で炭火でじっくり焼き上げる「フライド蓮根」。

 

▲「フライド蓮根」は、見た目からは想像できない美味しさ

 

コース料理では珍しく、かぶりついていただく「フライド蓮根」。蓮根の、上から2番目の細い部分をそのまま使い、味付けは少しの塩だけ。実の厚さや食感、焼いた蓮根の香ばしさ、そして思いもしなかったことに、ホクホクとした美味しさがダイレクトに伝わる一品でした。

 

▲蓮根の一番美味しい食べ方を考えたと言う奥村氏。“盛り付け”の妙も楽しめます

 

まち針の作家とコラボした九谷焼の針山の器には、ふきのとうを使った揚げ物を盛り付け、春らしさを実感。待ち針の人形は『一寸法師』でした。

 

▲まち針に見立てたひと口の揚げ物

 

サバを糠漬けにした北陸の郷土料理“へしこ”の技法で、クラフトビール「金澤麦酒」の搾りかすに能登豚を漬けたスペシャリテ。能登の赤ワインと発酵した黒ニンニクのソースが添えられ、ビールの原料として焙煎した香ばしいモルトが散っています。キリっと辛味のあるハーブのナスタチウムとほろ苦い揚げたケールも、豚肉のアクセント。ひと皿の中に多彩な味の世界が広がっていました。

 

▲釉薬を使わず灰黒色をした珠洲焼きの器に盛られた「能登豚のへしこ」

 

のどぐろのアラを使った土鍋ご飯を焼きおにぎりにして、お店自慢のおでん出汁でいただきます。

 

▲「のどぐろの焼きおにぎり茶づけ」はあでやかな器で

 

デザートは、輪島塗の職人が漆を塗るときに使うヘラでいただく面白さ。チーズケーキと漆は柔らかさが似ていることから、職人が漆をすくうように食べる“石川県的”な体験。金沢は、麩や生麩を使った料理が盛んで、車麩とモルトをチーズケーキの土台に使い、食感も楽しめます。

 

▲この日のデザートは、能登の玉子で作ったバスクチーズケーキ

 

数々の美しい器に目を奪われつつ、霧吹きや煙、紙袋や漆塗りのヘラなどの演出も面白く、意外性たっぷりの料理を次々に繰り出す奥村氏。カウンター越しにレシピを聞けるのも珠玉の時間。料理人の腕前をたっぷり堪能できるお店です。

 

※写真は2023年3月のもので、料理は時期により変わります

 

 

旅先でいつも悩むお食事処選び。【OMO5金沢片町 by 星野リゾート】のアクティビティ「金沢片町味わいまっし散歩」で、ディープな街歩きと美味しいお店を見つけられるのは一挙両得! “美味しい金沢”を発見してみてくださいね。<text&photo:みなみじゅん 予約・問:OMO5金沢片町 by 星野リゾート https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo5kanazawakatamachi/


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