その先に広がる世界(可能性)を見てみたいのは、どんなことも同じ。
以前、スキーウェアのアートディレクターとして関わっていた頃、感じたことです。
「なんであんなことするんやろ? 私が親やったら止めて、すぐ戻ってきなさいって言うやろなぁ」
ヒマラヤの奇怪な谷をロープ一本で岸壁を降りていき、冒険する日本人探検家の映像を見ながら母がつぶやき、思い出しました。
スキーウェアに関わっていた頃、プロスキーヤーや冒険家と会う機会が幾度となくありました。
パウダースノーを求めて南米に向かい、軍用のヘリコプターに交渉して、山の上まで運んでもらって降りてくる、
マイナス20度近いウズベキスタンの山奥でキャンプを張りながら、スキーをする、
1カ月間、日本の冬山に籠り、スキーの新ルートを開拓する、
スキー板と鮭(石狩鍋をしたらしい)をかついで、エベレスト登頂に成功するなど、
常軌を逸する行動をしている方々の話を聞くたびに
「どうしてそこまで?」
が沸き上がります。
たいてい彼らは言うのです。
「見たことのない世界を味わってみたい」と。
最初は首をひねっていたのですが、
そのうち、命がかかっていないとはいえ、
私のように冒険しない「散歩」がテーマの旅でも見たことのない世界を味わいたいことは同じだと思うようになってきました。
旅だけではなく、研究の世界でも金融の世界でもそうだろうし、
表現は違うかもしれないけれど、医療や福祉の世界でも言えること、
つきつめれば人生そのものがそうなのでしょう。
何もない日常が幸せというのもあるけれど。<text:イシコ>
2023/11/04| TAGS: lifestyle
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