食通の間で知られる【仙台国際ホテル】。今回は自家製キャビアのプレス試食会に参加しました。コース料理とともに、採取したてのキャビアや塩分濃度を変えたキャビアの食べ比べや、様々な調味料にあわせてセルフでいただく試みは食の新体験。2024年2月11日(日)には、一般の方向けに「出来立て自家製オリジナルキャビアの晩餐会」が開催されるので、ぜひ驚きの体験をしてみませんか?
|ホテルで作る新鮮な自家製キャビア
キャビアはしょっぱい。だから料理の味つけとして使われている。キャビアについてそう思う人は多いハズ。日本で食べられているキャビアは、長持ちをさせるため塩分濃度が6%以上のものがほとんどです。ところが仙台国際ホテルでは、魚卵本来の味を楽しめるよう塩分3%で作られたオリジナルキャビアを用意します。
▲チョウザメから取り出した卵は、金ざるで丁寧にそぎ落とします
直前まで生きていたチョウザメから卵を採取。薄皮でつながっている卵を潰さないよう注意しながら、金ざるで裏ごしして卵だけを採取します。
▲採れたてのキャビア
今回は16kgのチョウザメから3kgのキャビアが採れました。個体差もありますが、通常は体重の10%ほどの卵が採れるそうです。
▲実験的に作られた塩分濃度1%のキャビアを試食
魚卵を塩に漬けるとき、普通の塩を使うとマグネシウムのせいでより塩辛く感じるため、岩塩でマイルドに。ここで試食した塩分1%のキャビアは塩味がかすかにする程度で、魚卵の味がしっかり感じられました。
▲塩漬けにしたキャビアは30gの小瓶に分けて冷凍保管されます
この日仕込んだキャビアは冷蔵庫に保存して塩分を浸透後、2023年12月からホテルのレストランで提供中。仙台国際ホテルのフレンチレストラン「L’osier D’or(ロジェドール)」と中国料理「翠林(すいりん)」で、コースメニューに使われています。
|コース料理の始まりは採れたてキャビア
キャビア作りを見学した後は、仙台国際ホテルが伝統とする洋中折衷のコースディナーをいただきました。さらに、お好みの味つけでキャビアを食べ比べする特設コーナーも用意。食通の方でも経験したことのないキャビア尽くしのひと時です。
ドリンク類は、ボルドーの名門「シャトー バタイエ2017」やスペインのシェリー酒で辛口の「ペマルティン オロロソ」のほか、宮城県の地酒、新澤酒造店の「伯楽星 純米大吟醸」と佐浦の「浦霞 禅 純米吟醸」、そして紹興酒は永昌源の「古越龍山10年」を用意。ソフトドリンクも含めフリーフローで楽しみました。
▲乾杯のシャンパーニュは「ポメリー ミレジメ グラン クリュ 2008」
いよいよここでしか食べられない塩分濃度1%のキャビアの試食です。貝殻で作られた専用のキャビアスプーンがふたつ用意され、15時に仕上げた3時間半経過と、13時半に仕上げた5時間経過のキャビア(黄色いシール)の、贅沢な食べ比べです。どちらも塩分1%の極薄味ですが、その分キャビアが本来もつ魚卵の味を感じられました。
▲前菜は塩分1%、かつ塩の浸透時間を変えた「キャビアの食べ比べ」
オードブルはフレンチと中国料理のマリアージュ。仙台で野菜を栽培する田代農園の「カブのブランマンジェ」、「塩釜産ひがしものとアボカドのメリメロ」、小さなパンケーキ「ブリニのサワークリーム」、「近江鴨の紅茶煮 干し柿巻き」、醤油ベースの漬けタレにつけ燻製にした「鱈白子の滷水(るうすい)漬け・烏龍茶燻製掛け」。お酒にもよく合いました。
▲味の違いが楽しめるフレンチと中国料理のオードブル5品
|究極の体験!キャビアの味比べ
ここでテーブルを離れ、キャビアの試食コーナーへ。5種類の味が用意されたキャビアは、無塩で4時間経過したもの、塩分濃度3%で4.5時間経過、塩分濃度3%で6時間経過に加え、醤油漬け、紹興酒漬けを用意。さらに調味料が9種類用意され様々な味を試せるほか、セルフで「キャビアの軍艦巻き」まで作れる!という、どんな食通の方も体験したことのない驚きの内容です。
▲キャビア試食コーナー
キャビアを自分好みで味付けして楽しめる貴重な機会。
▲無塩で4時間経過したキャビア
キャビアのために用意された調味料は、ヒマラヤ岩塩、豆板醬、XO醬、ワサビ、薄口醤油、醤油パウダー、生醤油糀、生醤油 蔵造り、吉野杉樽 天然醸造醤油。たとえばキャビアをワサビ+醤油で食べる斬新な試み。他ではできない体験です。
▲お好みの味わいで楽しめる調味料
個人的に最もお気に入りの食べ方は、無塩キャビアを軍艦巻きにたっぷり盛って、本わさびと少しだけ味つけ程度に醤油に浸していただく組み合わせ。ワサビのツーンとした辛味がキャビアによく合いました。これぞ究極の贅沢です。
▲キャビアの軍艦巻き。和の食材とベストマッチ
おそらくこれまでの人生で食べてきたキャビアの総量の、何倍もの量をこの日にいただきました。今回の試食会を参考に、多少内容の変更はあると思われますが、2024年2月11日(日)には、塩分濃度を変えたキャビアを様々な薬味と共にテイスティングする第3回「出来立て自家製オリジナルキャビアの晩餐会」が、一般のお客様向けに行われます。
|メイン料理も驚きの連続
ここからはメイン料理が続きます。2021年に中国料理で「黄綬褒章」を受章した羽田満「翠林」料理長渾身のスープです。野菜を5時間煮込み、食べる直前に鳥豚牛肉を6時間煮込んだスープを合わせたもの。透き通ったスープはクリーミーでコラーゲンたっぷり。鮫のほっぺはフワトロで、ヨシキリザメの姿煮もこんなに大きなものが使われて、幸せいっぱいの気分になるスープでした。
▲「気仙沼産フカヒレ入り滋養蒸しスープ」
メイン料理登場の演出も見事です。幕が上がると大きな額縁が現れ、まるで絵画のような仙台牛の骨付き肉が現れます。肉は栗原産の数少ないメス牛で、肥育促進剤などを一切使わない生産者から直接半頭分買い付けています。
▲額縁に吊るされた骨付き肉を解説する菅井敏彦総料理長
目の前のステージでカットされる牛肉も、規模の大きな晩餐会でしか見られない光景です。じっくり時間をかけて焼き上げたローストビーフは、まわりを脂で包まれていて蒸し焼きになっています。
▲こんなシーンを見られるのも晩餐会の醍醐味
宮城の季節野菜とともにグレービーソース・ヴィオレットマスタードでいただきます。肉はたいへん柔らかく、肉汁や旨味が広がる逸品でした。
▲「栗原産骨付き仙台牛サーロインのローストビーフ」
|舞い踊る炎のデザート
デザートにかけるソースにも楽しい演出が続きます。ホテルのスタッフが音楽に合わせてレモンの皮をリズミカルに剥いて、綺麗にフランベしながらソースを作ります。こうしたパフォーマンスもゲストを楽しませる晩餐会の一環。ホテルのスタッフは日頃からこうした研鑽を積んでいますが、レストランの他フロントやカフェなどでも、さり気ない所作の美しさを見ておいてください。
▲レモンの皮をつたって炎が踊るソース作りのパフォーマンス
デザートは本物のリンゴに見えますが、実はムースをチョコレートでコーティング。宮城県南部の海沿いにある山元町のリンゴ秋映(あきばえ)を使ったソルベ(シャーベット)と、サツマイモのピューレで作った折り鶴が添えられます。
▲「お愉しみ林檎の宝石箱 炎の演出ジュビレソース」
スプーンでリンゴ割ると、中にはムースと秋映リンゴのコンポートがたっぷり入っていて、炎の演出で作られた温かいジュビレソースをかけて完成です。仙台国際ホテルオリジナルブレンドの紅茶「杜の馨」とともにいただきました。
▲割れたリンゴにジュビレソースをかけて完成
果肉たっぷりのデザートは、パフォーマンスの楽しさと見た目の美しさで、楽しい余韻が残るデザートでした。これにて、キャビアの食べ比べという驚くべき試食会と、楽しい晩餐がが終了し、忘れられない思い出として幕を閉じました。
|宿泊のおすすめはコンセプトルーム
もちろん、食事の後はホテルに泊まって今しがた体験した料理の余韻にひたってみてはいかがでしょう。特におすすめは3タイプのコンセプトルーム。仙台藩伊達家の家紋「笹の葉」をモチーフにした “SASATSUYU”。「梅」をモチーフにした “UMENO”。日本を代表する風景が描かれた “UTSUKI” です。ここでは “UTSUKI” を紹介します。
▲コンセプトツインルーム “UTSUKI”
広さは33.3平米で定員は2名。室内はシューズオフできる畳敷きで、ゆったりとくつろげる和モダンの客室です。ベッドマットは英国王室御用達のスランバーランド。3層構造のマットは、揺れを吸収し耐圧分散するクッション層など快適な寝心地で旅の疲れを癒せます。
▲“UTSUKI” を飾る日本の風景、富士山、桜、東京スカイツリー(R)
【仙台国際ホテル】では、2024年2月11日(日)に一般の方向けに「出来立て自家製オリジナルキャビアの晩餐会」を開催。キャビアを仕込む工程を見学するほか、今回紹介した味つけ前の生キャビアの試食、塩分濃度を変えたテイスティング、醤油や紹興酒に漬けたキャビアや、様々な薬味の組み合わせを味比べするほか、仙台牛のローストビーフなどホテル伝統のコース料理をいただけます。なお、価格は¥50,000(税・サービス料込)とのこと。またとない貴重な機会を見逃さないでくださいね。<text&photo:みなみじゅん 予約・問:仙台国際ホテル https://www.tobu-skh.co.jp/>
2024/01/19| TAGS: lifestyle
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