静岡県は東西に長く、富士山周辺の高原地帯から海に囲まれた伊豆半島まで南北120km弱もあるため、海と山の幸に加え、標高差や寒暖の違いもあって多彩な野菜がそろいます。カウンターに並ぶ旬の野菜が目を楽しませてくれると同時に、料理が進むにつれてその美味しさに感激。肉や魚ももちろんですが、野菜の美味しさを実感するひと時でした。
今回はメイン料理のみ異なるコース料理「OYAMA」と「OMIKA」を紹介します。
▲フレッシュな県産や周辺の野菜が並んでいました
はじめの一皿は、パプリカ、茄子、冬瓜など、静岡を中心に14種類ほどの夏野菜を使い、煮たり揚げたり、お浸しにするほか、生のフレッシュなままで使ったりと、様々な食感や味わい、調理法を一度に楽しむラインアップです。一番上に飾られるサツマイモは低温で揚げられて香りや甘味を満喫。野菜の美味しさに驚かされるサラダです。
▲多彩な味のパッチワーク「彩り夏野菜と梨の胡麻香るサラダ」
二皿目は冷製茶碗蒸し。富士山の伏流水や静岡県産の大豆を使った御殿場サカグチヤの豆腐を使い、トウモロコシの擦り流しの中には、県西部の森町で栽培されたトウモロコシ「甘々娘(かんかんむすめ)」の粒が隠れていて、とっても甘くコーンの風味が広がります。トッピングの海ぶどうも、沼津で養殖された県内産という驚きです。
▲「サカグチヤ豆腐の冷製茶わん蒸し 海ぶどう 海老 とうもろこしの擦り流し」
鰹の漁獲量日本一を誇る静岡県。この日は御前崎に水揚げされた鰹に、備長炭を直接押し付けて、香ばしく焦がした風味が食欲を刺激するタタキです。付け合わせのポテトサラダには鰹の酒盗などが使われ、お酒のアテにもピッタリ。さらに鰹をスパイスで食べるのは珍しく、鰹本来の味も楽しめる新しい体験でした。
▲「オリジナルスパイスで楽しむ 鰹のタタキ 炭火炙り」
鰹のタタキに用意されるスパイスは、ニンニクやコリアンダー、ピンクペッパーなどが使われ、エジプトの万能スパイス「デュカ」を思わせるオリエンタルな風味。塩はイギリスの高級天然塩「マルドン」が添えられ、まろやかな塩味が鰹によく合いました。
▲鰹のタタキにつけるオリジナルスパイスとマルドンの塩
炭火で焼き上げた柔らかな蝦夷アワビには、駿河湾で穫れたネバネバの海藻アカモクを、鰹節や長ネギと和えてトッピング。和風サルサ風の味付けでさっぱりといただけます。紫蘇の爽やかな風味もアクセントになる、暑い夏にピッタリの一皿です。
▲「蝦夷アワビの炭火焼き 駿河湾産アカモクと長ネギ 鰹節和え添え」
ふたつのコースメニュー「OMIKA」と「OYAMA」の、それぞれのメインディッシュを紹介します。「OMIKA」は和牛と季節の野菜の炭火焼で、プラス¥4,400で静岡和牛フィレに替えられます。和牛は日によって産地が変わり、この日は静岡県産の和牛のサーロインでした。肉の脂や旨味が口に広がり、御殿場のワサビと塩麹を合わせたソースや塩でさっぱりといただきました。
▲「OMIKA」のメイン料理は「シェフお薦め和牛と季節の野菜の炭火焼き」
一方の「OYAMA」のメインディッシュは「お任せ焼き物」。炭火で焼いた鶏モモ肉には、ワサビと塩麹を合わせたソースの優しい辛味が加わります。静岡県産の桜咲鱒(サクラサキマス)は脂がのっていて、醤油やみりんのタレに漬け込んだ柚庵焼き。季節の野菜は甘長唐辛子やサツマイモの輪切りで、青唐辛子を使った辛子味噌が添えられます。
▲「OYAMA」のメインディッシュは「お任せ焼き物」
〆のご飯はコース料理では珍しい握り寿司。この日の握りはミナミマグロの中トロと、色鮮やかなサーモンはホテルがある小山町の特産「金太郎マス」、そして炭火で芳ばしく炙った御前崎産の太刀魚でした。そこにお任せの巻物が加わります。醤油とお味噌汁のお味噌は、御殿場市にある「天野醤油」を使い “地元の味” を楽しめます。
▲静岡県はお寿司でも有名。〆は素材の良さを活かした握り寿司
デザートはホテル特製の枡に入ったマンゴープリン。スピード感たっぷりのホテルロゴと和心いっぱいの枡がいい雰囲気。鮮やかな果肉がトッピングされ、ココナッツミルクがかかります。とても滑らかな舌触りと控えめな甘さで、マンゴーの味が引き立っていました。
▲デザートは「特製マンゴープリン」
静岡県の美味しい食材がメインに使われるコース料理。遊び心も感じられる創造性豊かな料理ではじまり、徐々に正攻法の、それでいてスパイスなどで工夫を重ね、キレのある味になる印象的な流れです。鰹や蝦夷アワビ、県内産の和牛など上質な食材が使われますが、特に野菜の美味しさに魅了されるひと時でした。
|バーのテーマはモータースポーツ
ホテル3階にあるバーでも、車とのつながりを色濃く感じられます。「BAR 4563」の名も、富士スピードウェイのメインコース、全長4,563メートルから命名。ドリンクももちろんですが、店内を彩るさり気ない内装も楽しんでみてください。
▲「BAR 4563」
バーの入口にある店名をよく見ると末尾の3が若干上にズレています。これは昔の車に装備されていた機械式のオドメーター(走行距離計)の、まさに数字が変わる様子。“昔の車” に乗っていた私には、ドンピシャに刺さるポイントでした。
▲バーの入口には V 型8気筒エンジンが鎮座
スポットライトが当てられ、金色に光り輝くエキゾーストマニホールドなど、エンジンの機能美や力強さ、工業製品としての美しさを表現。しかも2003年4月にツインリンクもてぎで開催されたインディレーシングリーグ(IRL) 第3戦 Indy Japan 300の優勝車両のエンジンです。つまりアルコール(エタノール)燃料用。バーだからこその遊び心です。
▲店内はスポーツカーを思わせる赤と黒のデザイン
静岡のクラフトジンやウイスキー、シグネチャーカクテルなどもラインアップ。
▲照明のレンズは古いデザインのヘッドライトを採用
バーの照明には、自動車用のヘッドライトを製造する小糸製作所のオールドタイプのレンズが使われます。年配の方には懐かしいアイテムで、現代の自動車はクリアなレンズが主流ですが、昔はレンズカットで光の向きをコントロール。光を広く照射することはもちろん、対向車が眩しくないよう左右非対称にカットしてあります。
▲壁にはたくさんのミニカーが
サーキットのスターティンググリットに車が並ぶ光景を表わす遊び心溢れるアート。F1や耐久レースなどのレーシングマシンを筆頭に、往年の名車や市販車、トラックまで、さまざまな時代のさまざまなクルマが並びます。
▲あの車も並んでいます!
一世を風靡した公道レース漫画『頭文字D 』の主人公が乗っていたことで一躍人気を博したAE86トヨタ・スプリンタートレノ「藤原とうふ店(自家用)」仕様です。
▲気になるドリンクをチョイス
左は夏季限定の「柚子ジェラートモヒート」。ホワイトラムをベースに柚子の香りや苦みもしっかり感じられ、スプーンですくってスイーツのように楽しめます。右のカクテルは「ブースト」。ターボやスーパーチャージャーに送り込む空気圧を示す用語で、オイル缶風のボトル「エンジンオーガニックジン」やレース活動をスポンサードする「レッドブル」を使います。名前は過激ですがとても飲みやすかったです。
|サーキットを見下ろすビアガーデン
ホテル最上階の屋外テラスでは、サーキットと富士山のどちらの景色を楽しめる「ルーフトップビアガーデン」を開催中。期間は2024年9月13日(金)まで。外来利用も可能で予約も不要です。営業時間は16時から20時まで。大人3,300円、子供(6歳から12歳まで)1,650円、未就学児は無料で、雨天時はロビーフロアの「TROFEO ラウンジ」で行われます。
▲ルーフトップビアガーデン
▲夜の富士スピードウェイもドラマチック
奥には富士山が見える席も用意。雲のない日は、登山者の灯りがよく見えるのだとか。普段なかなか見られない景色に出会えるかも。
▲おつまみの盛り合わせも含む90分飲み放題
ドリンクは静岡麦酒や赤白のワイン、ハイボール、ソフトドリンクなどが飲み放題。唐揚げとトルティーヤチップ、枝豆が盛られたアペタイザープレートは、飲み放題プランに含まれます。追加オーダー用として、しらすピザや富士宮焼きそばなども用意(有料)。富士山デザインのナンバープレートに書かれた「富士山645」は、ホテルの住所 “小山町大御神645” からきています。
【富士スピードウェイホテル,アンバウンド コレクション by Hyatt】のディナーとバータイム。そして夏のルーフトップビアガーデン。しかも「Robata OYAMA(炉端小山)」の料理はイチ押しの美味しさです。ぜひエキサイティングでドラマチックな、コースディナーのスターティンググリッドに着いてみてくださいね。<text&photo:湯川カオル子 予約・問:富士スピードウェイホテル http://fujispeedwayhotel.jp>
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2024/09/05| TAGS: lifestyle
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