出産前、職場でのあだ名が「お母さん」だったことがありました。
その理由は、同僚や後輩などのフォローをすることが多かったから。でもそれは、あくまで自分にはそれが向いていたからで、決して「職場の母」という気持ちからやっていたわけではありませんでした。
そして時が流れ…。出産し、わたしは本当の「お母さん」になりました。
すると、職場で誰かの誕生日を祝うことになったある日。ホールケーキをみんなでさあ食べましょう!
という瞬間に、同僚から、「〇〇(わたし)さん、お母さんだからケーキ切るのもうまいですよね。お願いします!」と、ナイフを渡されたのです。
ん………? 「お母さんだからホールケーキを切るのがうまい」が、わたしにはどう頑張ってもイコールにはならず、「いや、うまく切れるとは思えないけど、それでもいいなら切るよ!」とヤケクソで切ったのを覚えています。
別に子だくさんでもなく、ホールケーキを切る機会は年に2回あるかないか。それも最近は娘に切ってもらっているくらい不器用なわたしに、なぜこんな難易度の高いものを切らせるかね…。
それは、「お母さんだから」なのです。不思議。
「お母さん」になったからといって、いきなり料理上手になったり、掃除が得意になったり、裁縫上手になったり、それこそホールケーキを上手に切れるようになったり、…は、しないのです。
実際、お母さんになったわたしが上手になったのは、「いかに短時間でどうにか家のことをまわすか」と考え続け、日々ブルドーザーのような勢いで「なんとか終わらせる」ことだけでした。
このときに感じた、「お母さんってそんなに何でもできる人、と世の中からは思われているのだろうか」という疑問が、最近またわたしの中で大きくなっています。
まず、職場で。同じチームの年下女性が仕事で悩んでいそうだな…と感じたのでちょっと声をかけ、グチを聴きました。先輩として普通にやることだと思うのですが、そのあとで「ありがとう…お母さん~!」と連絡がきて、「わたしあなたのお母さんじゃないのよ」と、恋愛ドラマで彼女が彼に言うようなセリフが頭をよぎりました。
どうやら職場においては、年下をフォロー=母、になるようです。
次に、プライベートで。親しくしてもらっている10歳くらい年下の女性、10歳くらい年上の女性と3人でご飯を食べにいったときのこと。山盛りサラダや、切り分ける必要がある肉のブロックのお皿が運ばれてきました。「年上の女性はもちろんのこと、年下の女性にもあまり気を遣わせたくないし、のんびり食べてほしいな。ここはこの場における中間管理職のような立場のわたしが切るのがよいだろう」と思ってザクっと取り分けました。
すると、2人から「さすがお母さん…!(※年上の女性にもお子さんがいらっしゃるので「お母さん」です)」と言われたのです。
「お母さん」呼び、再び!
「わたしお母さんだから(やりますね)」という気持ちで、職場でもそれ以外でも一度も動いたことがないわたしと、「お母さんありがとう!」と言ってくれる人たちとの期待値の差が、最初に職場で「お母さん」と呼ばれた20代のときから、いまだに埋まっていないような気がします。<text:なまけるための片付け/花太郎(整理収納アドバイザー) https://note.com/namake_kataduke>
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2024/10/24| TAGS: lifestyle
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