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うっとりするほど美しい♡ 刺繍家・emi takazawaさんが生みだす花のジュエリー

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婚礼用の振り袖や打掛け、舞台衣装、スカジャンなどに使われることでも知られる群馬県桐生市の伝統工芸『横振り刺繍』。この技術によって生み出される、うっとりするほどに美しく咲く立体的な花のジュエリーは、作家・emi takazawaさんによるもの。

 

 

今回、東京・表参道のセレクトショップ「水金地火木土天冥海」にて新作展『結んで 魅る』を現在開催中のemi takazawaさん(以下、emiさん)に、新作について、そして製作秘話などをインタビューさせていただいた。

 

 


 

 

—以前、こちらで開催していた『Exotic Bridal Fair』で初めて作品を拝見させていただき、可憐でいて繊細な表現の作品に大変感動しました。今回の新作についても楽しみにしていたのですが、新作のテーマを教えてください。

 

 

emiさん『夜色(青)と影色(黒)、月色(白)と日色(金)という色の組み合わせを結んだ作品になります。新作のテーマは「暗闇の夜(青)に 影(黒)は見えなくて 月(白)が輝くときに 日(金)は見えない。 見えるものと見えないものを1つの花びらで結び合わせ、全てを1つの花の上で結んで魅ました。 目に見えないこと会えないことが 悲しいことばかりではないはず だって目を閉じれば ほらいつでも瞼に映る」というものになります』

 

 

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ーイメージソースのようなものは何かあったのでしょうか?

 

 

emiさん『私の場合、使いたい色や表現したい景色やストーリーを同時に組み立てていきますので、何かがイメージソースになったのではなく、そのときにイメージしていた色や景色が重なりあって生まれた作品という感じです』

 

 

 

 

—もともと刺繍作家になったきっかけを教えてください。

 

 

emiさん『専門学校を卒業後に地元(桐生)の婚礼衣装や舞台衣装の横振り刺繍を手がける会社に就職したのですが、私はそのときに婚礼衣装を担当する部署に配属されたんです。そこには伝統工芸士さんが2人いらして、そのお二人に直々に教われたおかげで、“普通なら打掛けを手がけるには数年の修行が必要”と言われていたところを、約1年で打掛けを手がけるまで技術を習得できました。その後約2年、その会社で打掛けや舞台衣装などの刺繍の仕事をさせてもらった後、あることが“きっかけ”になって独立することになったんです』

 

 

 

 

ーその独立の“きっかけ”について教えていただけますか?

 

 

emiさん『あるとき、会社の社長さんに呼ばれて美しい刺繍が施された白無垢の打掛けを見せられました。その刺繍は“中国の手刺繍”だったのですが、横振り刺繍よりもずっと安くできることを知って、直感的に「このまま普通に横振り刺繍をやっていたら、将来仕事がなくなるかも」と思ったんですね。そのことがきっかけで「横振り刺繍をつかった新しい何かができないかな?」と考えるようになって、まだまだ技術的には未熟だったんですが独立してしまったんです』

 

 

 

 

—emiさんが当時仕事でしていた衣装の刺繍というといわゆる“平面”ですが、作品は“立体”ですよね。この“立体”にするイメージはどこから生まれてきたんですか?

 

 

emiさん『仕事で携わっていた打掛けの刺繍は華やかで煌びやかなものばかりでしたが、個人的にはモノトーンが好きでした。なので独立したての頃は、その好きなモノトーンの色合いで花を刺繍していて、気に入った花びらをハサミで切り取っていたんです。ふとその花びらを組み合わせていたら一つの花ができあがって「立体にもなるんだなぁ」と思っていた矢先、知り合いの結婚式があってコサージュを欲しかったのですが、なかなか好みの物が見つからなくて…。だったら「花びらをパーツに自分でコサージュを作ってみよう」と思って作ったものが作品の原型になっています』

 

 

 

 

ー作品に使う素材などへのこだわりはあるんでしょうか?

 

 

emiさん『糸はすべて地元の群馬県産の絹糸で、染めも地元の桐生の染め屋さんにお願いしています。手染めなので気候の影響で色も微妙に変わるのですが、その変化さえも愛おしいんです。本来、絹糸はお蚕さんの“生命のおウチ”である繭を原料にしたもので、毎日触れるたびに本当に息づいているという感じがするんです。だから落ち込んでいるときでも糸にさえ触れればすべてが吹っ飛んでしまうという感じなんですよ』

 

 


 

 

お話をうかがっていると、刺繍や絹糸、そしてお蚕さんへの純粋な愛情をストレートに伝えてくれるemiさん。ごくごく自然に刺繍の世界に没頭しながら、頭の中にある架空の花を、花びら一枚一枚に表情をつけていくように生まれた作品は、見る人、触れる人をとっても魅了してくれます。

 

 

ぜひこの機会に色を結んだ新作ジュエリーを楽しみに新作展へ足を運んでみてくださいね。

 

 

 

emi takazawa新作展『結んで 魅る』
2015年1月20日(火)まで
会場:水金地火木土天冥海(スイキンチカモクドテンメイカイ)
Tel: 03-3406-0888 (11時〜19時30分)
http://www.hpfrance.com/suikin/


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